昨日ご紹介した『ライフサイクル投資術』を読んで、現在の相場がかなりの高値圏にあることを再認識しています。
この記事では、シラーPERという指標が現在の相場をどのようにジャッジしているか、確認しておきたいと思います。
目次
シラーPERとは、CAPEレシオ (Cyclically Adjusted Price-to-Earnings Ratio) とも呼ばれ、景気循環調整後の株価収益率(PER)を示す指標のことです。
1988年にエール大学のロバート・シラーとジョン・キャンベルが公式に定義しました。
インフレ調整後1株当たり利益の10年移動平均値を用いてPERを計算するため、一時的要因による収益変動や景気循環の影響が除外され、実質的な企業収益力との関係で株価の割高・割安性が示されます。
『ライフサイクル投資術』には、このシラーPERに関連して、次のような解説があります。
ぼくらの計算では、P/Eレシオ(※シラーPER)が27.7倍を超えてはじめて、株式投資は丸ごとやめたほうがいいとの結論になった。市場がそこまで割高だと、将来の株式市場に期待できるリターンはリスクに見合わない。市場がここまで危険な領域に足を踏み入れたのは2回だけである。大暴落直前の1929年に1回、ドットコム・バブル崩壊直前の1990年代の終わりにもう1回だ。
出典『ライフサイクル投資術』
1881年以降140年間で、米国ダウのシラーPERが「30」を超えたのは、1929年世界恐慌時と2000年前後のドットコム・バブルしかありません。



1929年の世界恐慌の際には,7月にシラーPERが30を突破した後、約2か月後に,ご承知のとおり株価が大暴落しました。



ドットコム・バブルの際には、1997年前半に30を超えた後2001年に至るまで、4年以上にわたってシラーPERが30を超えた水準をキープし、一時「44」を記録しています。



わずかこの2例を見ると、シラーPERは「30」を超えてすぐに株価が急落するわけではありませんが、長期的な株価のピークは示しているようです。
現在のシラーPERは2017年中頃から約2年半以上に渡って、30前後の水準を維持しており、2019年12月末は「30.91」となっています。



現在のシラーPERは歴史的な割高であることを示しており、しかもその状態が2年以上も続いていることになります。
下の図にあるとおり、シラーPERが高いとその後の10年間の年率リターンは著しく低いものとなります。



現在のシラーPERが示唆しているのは、今後一時的には上昇するかもしれないが、10年間のリターンがマイナスである可能性が高いということでしょう。
「P/Eレシオ(※シラーPER)が27.7倍を超えてはじめて、株式投資は丸ごとやめたほうがいい」という主張も理にかなっているように感じます。
ただし、シラーPER単体で現在の株価水準を判断することは早計ですので、次回は、別の指標「バフェット指数」について取り上げてみたいと思います。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございます。
[…] 現在の株価水準は割高か?シラーPERからの考察現在の株価水準は割高か?バフェット指数からの考察 […]
[…] 現在の株価水準は割高か?シラーPERからの考察【ご報告】レラティブ・ストレングスとインデックス積立を一旦休止します。 […]