『ライフサイクル投資術 お金に困らない人生をおくる』を読んで

連日、NYダウやナスダック指数が史上最高値を更新し、ダウ指数の30,000ドル突破も射程圏に入ってきました。

出典:SBI証券

このようなニュースに接すると、頭をよぎるのが株価暴落の影です。

皆さんの中にも、株価の急落する時期が近いことを考え、「株式への投資割合を減らしたほうが良いのではないか・・・」と感じている方もおられるかもしれません。

そのような方に是非お読みいただきたい本をご紹介します。

それは、『ライフサイクル投資術 お金に困らない人生をおくる』という本です。

『ライフサイクル投資術』の書籍紹介:

この本が推奨しているのは、ズバリ「時間の分散投資」です。

多くの投資家が「卵は一つのカゴに盛るな」という格言に従って、資産や銘柄の分散を図っています。

また、投資家の多くはドルコスト平均法やバリュー平均法によって、一応の時間分散を図っています。

しかし、「ドルコスト平均法のようなタイミングの分散では、十分な時間の分散が図られていない」というのが著者の指摘です。

市場に投下している資金量が、投資期間の初期と末期では、全く異なるからです。

たとえば、30歳から60歳まで30年間、毎月1万円を積み立てている投資家がいるとします。

この投資家が最初の1年間の投資金額は12万円ですが、最後の1年間の投資金額は360万円になります。

12万円と360万円ではリスクが異なりすぎており、適正なバランスが図られていないというわけです。

しーげるくん

言われて見ればそのとおりだね

そこで、著者が提案しているのは、以下の点です。

  • 現時点で保有している資産と、これから貯金にまわしていく未保有の資産額の現在価値を「真の総資産」として算出する。
  • 株式:債券の投資割合を「真の総資産」に基づいて定める。
  • 投資期間の初期はレバレッジをかけて、投資期間全体のエクスポージャー(ポートフォリオ内の資産割合)に近づける。
  • ただし、レバレッジは2倍まで

この本では、この方法で、投資期間全体でリスクを下げ、リターンを上げることが可能になることがデータによって裏付けられています。

日本株式でもしっかり検証されている点が好印象です。

この本から得られた気づき:

豊富なデータに基づいて検証されているため、投資初期段階で最大2倍のレバレッジをかけて時間の分散を図ることによってリスクを減らせるという著者の主張は、大変説得力がありました。

私の場合、本書の方法で計算したところ、1.68倍のレバレッジを掛けて株式に投資しなければなりません。

現時点でネットネット株に投じている投資割合は13%にしかならず、あまりに保守的過ぎることが分かりました。

もちろん、本書が念頭に置いているのはインデックス投資であり、個別株ではありませんが・・・。

ところが、私がもっとも強い印象を受けたのは、次のセンテンスです。

ぼくらの計算では、P/Eレシオ(※シラーPER)が27.7倍を超えてはじめて、株式投資は丸ごとやめたほうがいいとの結論になった。市場がそこまで割高だと、将来の株式市場に期待できるリターンはリスクに見合わない。市場がここまで危険な領域に足を踏み入れたのは2回だけである。大暴落直前の1929年に1回、ドットコム・バブル崩壊直前の1990年代の終わりにもう1回だ。

出典『ライフサイクル投資術』

この本が書かれたのは2009年でした。

そして、昨年末のP/Eレシオは「30.91」

つまり、レバレッジをかけて株式への投資を推奨するこの著者でさえ、現在の株価水準は「危険な領域」であり、株式への投資割合を「0」にしたほうが良い、と書いているわけです。

「シラーPER」が、米国株価が歴史的高値圏にあることに警報を発していることは知っていましたが、これには改めて考えさせられました。

しかし、ベンジャミン・グレアムは『賢明なる投資家』の中で、「防衛的投資家」(積極的投資家ではなく)でさえ、いつでも株式を25%保有するよう教えています。

それで、積極的投資家を自負する私自身はネットネット株の保有は続けますが、他の投資方針(レラティブ・ストレングスとインデックス投資)については一時休止も検討したいと考えています。

私個人としては、レバレッジ投資の部分も興味深かったのですが、この傍論部分により大きな衝撃を受けました。

本書全体は、分散とは何かを深く考えさせるものであり、株式投資を行うすべての方にお読みいただきたい本です。

今回も記事をお読みくださり、どうもありがとうございました。

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