特別に多読家というわけではありませんが、自己投資のため、本業に関わらない本を月に3-5冊程度、読むように心がけています。
最近は、多くの本を電子版で購入して、iPadやiPhoneで隙間時間に読んでいます。
自分の本棚を常に持ち歩き、いつでもどこでも好きな本を読めるって、本当に素晴らしいことだと思います。
これまで色々な本との出会いがありましたが、私が今のネットネット株を中心とする株式投資を続ける上で役立っている3冊の「基本書」をご紹介します。
特に最初の2冊は、株式投資界のバイブルと言える本で、既にお読みになった方々も多いと思います。
もしお読みでない方は、バリュー投資の冬の時代を耐え抜く力が得られる本ですから、ぜひ一読なさることをお勧めします。
目次
この本は、株式投資を行おうとする全ての人にとって基本書といえる本です。
この本に書かれていることを一言で要約すると、
「幅広く分散された国際的株式インデックスに長期投資することに優位性がある」
・・・ということになります。
この結論がデータによって強力に裏付けられています。
特に、繰り返し読んでおきたい1章と2章では、
・1801年に1ドルを投資した場合、株式・長期債・短期債・金・現金それぞれは、2006年末の残高が,75万ドル・1083ドル・301ドル・1ドル95セント・6セントになること。



・1900年から2006年にかけての主要16か国の株式と債券の実質利回りを比較した結果、すべての対象国で株式が債券の実質利回りを上回っていたこと。



・20世紀の主要な株価ピーク時(1901年・1906年・1915年・1929年・1937年・1946年・1968年・1973年)に100ドルを株式投資した場合、30年後には585ドルに達しており、株式がピークにあるときに投資を始めることを過度に恐れる必要はないこと。



・ポートフォリオ配分における株式配分として、30年を保有期間とする超保守派(最小リスク)でも71.4%、リスク選好派は139.1パーセントが推奨されること。



などが分かりやすく図表で説明されています。
- iDeCo、DC、つみたてNISAでインデックス投資をしている方
- 投資対象に迷いのある方
- 全ての株式投資家
この本を読むと、とにもかくにも、
- 長期間にわたって株式投資を行うことの重要性
を理解できます。
1章と2章を読んだだけでも、暴落時に衝動的に投げ売ったりすることを防げるでしょう。
ジェレミー・シーゲルの『株式投資』が全ての株式投資家にとっての教科書であるならば、この本は、全てのバリュー投資家にとっての教科書とも言える本です。
この本で強調されている、グレアムの投資哲学は次の4つにまとめることができます。
1.投資とは、詳細な分析に基づいて行うものであり、元本を保全して、適切なリターンを上げることと定義する。
2.将来のことは分からないのだから、投資家は手元資金をすべてひとつのバスケットに入れてはならない。その安全で堅実な範囲を超えて冒険に挑んだ人々は、精神的に大きな困難を背負うことになる。
3.投資家と投機家の相違は、その人が相場変動に対して、どのような態度で臨むかという点である。投機家の関心事は、株価の変動を予測して利益を得ることであり、投資家の関心事は、適切な証券を適切な価格で取得し保有することである。
4.安全域の原則を確固として守ることによって、十分なリターンを得ることが可能である。安全域の原則は、割安銘柄に適応することでさらに明白なものとなる。割安銘柄は株価がその株式の本質的価値よりも安い状態にあるわけであり、その差が安全域である。
出典:『賢明なる投資家』監修者まえがき
この4つの投資哲学を反映した、次のような金言名句が散りばめられています。
- 防衛的投資家とは、大きな失敗や損失を避けることに最大の関心がある人々を指し、彼らがそれに次いで重視するのは努力や不快感、また度重なる投資判断の必要性から逃れることにある。(まえがき)
- 積極的投資家を特徴づける要素は、平均的銘柄と比較して健全で魅力ある有価証券を選ぶために、手間と時間を注ぎ込むことをいとわないということだ。(まえがき)
- 投資家にとって最大の問題―そして最大の敵―は大抵、自分自身。(まえがき)
- 企業の有形資産価値を大幅に上回る価格の株には手を出すな。(まえがき)
- 投資には、一般的にはあまり好ましく評価されない特性がある。素晴らしいとはいえないまでもまずまずの投資結果を、能力に乏しくほとんど努力をしない素人の投資家でも上げることが可能だということである。しかし、そうした人々が技術を向上させようとするならば、たゆまざる努力と少なからぬ知恵が求められる。もしも基本以外の知識や知恵を少しでも投資プログラムに組み入れようとすれば、普通より多少は良い結果を得られるどころか、かえってまずい結果に終わるであろう。(まえがき)
- 安全域の原則に確固として基づき、しっかりとした投資アプローチを取ることによって、十分な投資収益を得ることは可能である。だが、防衛的な投資によって確実な収穫を得ようとするのではなく、より積極的に投資収益を得たいと考えるならば、慎重な自己分析を欠いてはならない。(まえがき)
- 投機をしたければ、最終的には恐らくカネを失うであろうことを覚悟し、すべてを承知の上でやりなさい。そして必ずリスクにさらす金額の上限を定め、投資プランとは全く別個のものとして取り組むのである。(第8章)
- 一般の人々が相場予測で儲けられるなどという考えはバカげている。(第8章)
- 一般の投資家が株価動向を予測して儲けることは不可能である。(第8章)
- 投資銘柄の選定に際して特別な注意を払うのならば、企業の有形資産価値と極めて近似した価格―プレミアムが付いてもその3分の1以下―で売られている株に投資を集中させるのが最善であろう。(第8章)
- 企業の資産価値に見合った株価で買い付けたというだけでは、堅実な投資とはいえない。それ以外にも、株価収益率が満足のいく数字であり、財務状態が極めて良好で、かつ今後数年にわたり少なくとも収益が現状を割り込むことはないという見通しが立つ銘柄を選ばなければならない。(第8章)
- 真の投資家が持ち株を売らざるを得ない状況などめったになく、そういった状況以外のときには株価を無視しても構わないということだ。(第8章)
- 投資家と投機家の最も現実的な相違は、その人が市場変動に対してどのような態度で臨むかという点である。投機家の最大の関心事は、株価の変動と予測してそれによって利益を得ることであり、投資家の最大の関心は、適切な証券を適切な価格で取得して保有することにある。(第8章)
- 株価が大幅に上昇したすぐ後には絶対に株を買ってはならない。また、大幅に下落したすぐ後には絶対に売ってはならない。(第8章)
- 安全域の考え方は、割安銘柄に通用することでさらに明白なものとなる。割安銘柄は本質的に、株価がその株式の評価価値よりも安い状態にあるわけで、その差がすなわち安全域である。安全域は、計算ミスや運の悪さを十分に吸収する効果がある。(第20章)
バフェットがこの『賢明なる投資家』の8章と20章だけでも読むよう投資家に勧めているのも納得です。
- 自分が「投機家」や「トレーダー」ではなく、「投資家」だと考えているすべての方
- 全てのバリュー投資家
『株式投資』が株式投資家、『賢明なる投資家』がバリュー投資家の基本書であるならば、この書籍はネットネット株投資家の基本書です。
全編英語ですが、Kindle版を購入すれば、翻訳機能を使いながら、十分に読み切ることができます。
この本を読めば、ネットネット株に関する次の点を明快に理解できます。
- ネットネット株投資とは何か?
- ネットネット株投資が機能する証拠
- ネットネット株へのベストな投資方法
具体的には、ネットネット株に関する次のような点が説明されています。
- ネットネット株を見極めるため「正味流動資産(NCAV)」を算出する際には、流動資産から負債だけでなく、優先株式や簿外債務(未払年金・不確定な法的債務・オペレーティングリース)を差し引くべき。
- ネットネット株には次の種類がある。上に記されているものほど保守的。
- Net cash stocks・・・時価総額<現金・現金同等物ー全負債
- Net quick stocks・・・時価総額<現金・現金同等物・債券-全負債
- Net-net working capital stocks(NNWC stocks)・・・時価総額<現金・現金同等物*1.0債券*0.9在庫*0.5ー全負債
- Working capital stocks/net working capital stocks/NCAV stocks・・・時価総額<流動資産-全負債
- Net-net stocks/net-nets・・・時価総額<流動資産-流動負債
- ①コア基準、②定量基準、③定性基準という3つの基準で銘柄を選別する。
①コア基準ルール
- 1日の平均売買代金が適切であること
- ネットネット株指数が1.0未満であること
- 時価総額が1億ドル以下であること
- 時価総額が100万ドル以上であること
- 金融・不動産・資源探査・バイオベンチャーといった業種でないこと
- 中国での重要な事業を持たないこと
- 自己株式を売却していないこと
- 流動比率が150%以上であること
- 正味流動資産(NCAV)が直近12か月間に25%以上減少していないこと
- 有利子負債自己資本比率が50%以下であること
- NYSEへの上場株式でないこと
②定量基準
- 自社株買いが行われていると望ましい
- 経営者が多くの株式を保有していることが望ましい
- 無配が望ましい
③定性基準
- カタリストがあること
- 過去にネットネット株指数1.0(P/NCAV)を超えていたこと
- 日本の市場はネットネット株の宝庫。2008年時点で50%のネットネット株が日本市場に集中している。



- ネットネット株投資は単なる小型株やNASDAQ指数よりも高いリターンを期待できる。






- 割安株への投資に関心を持っている方
- 全てのネットネット株投資家
受験生が教科書を繰り返し精読するように、私もこの3冊の基本書は繰り返し読んでいます。
『株式投資』にはKindle版がないため、PDF化してタブレット端末からいつでも読めるようにしていますし、『賢明なる投資家』はAudible版も購入して、移動中に聞くようにしています。
このような基本書を繰り返し読むなら、投資家としての必要最低限の知識を得て、投資力を養うことができます。その結果、致命的な失敗を避け、相応のリターンを得ることができると考えています。
もしお読みになっていない本があれば、ぜひお読みになることをお勧めしたいと思います。
今回もこの記事をお読みくださり、どうもありがとうございました。