寺岡製作所(4987)の銘柄紹介 ― 粘着テープ専業の割安株

ネットネット株候補の中に寺岡製作所(4987)という東証2部銘柄があります。

この寺岡製作所は、7/29(木)に、2022年3月期第1四半期(4-6月)の決算を発表しました。昨年同期比で、売上高は21.9%の増収、営業利益は2.44億円の赤字から0.33億円の黒字へと黒転しました。

この寺岡製作所はネットネット株投資家として、購入候補となる銘柄なのでしょうか?

以下の5つの要素を1つずつ確認してゆきます。

①業種

寺岡製作所は、梱包用から電機・産業用へ展開する粘着テープ専業大手メーカーです。また、伊藤忠商事の協力を受け海外市場を開拓しています。

したがって、個人的に投資対象から外している不動産業・金融業銘柄には該当しません。

この記事では、寺岡製作所の同業他社として、テープやフィルムの総合材料メーカーの日東電工(6988)、粘着テープ大手のニチバン(4218)と比較してゆきます。

②企業規模

時価総額は96.6億円で、材料に対して反応しやすい小型株です。

売上高は伸び悩んでいます。

同業2社と比較すると、日東電工が大きく売上高を伸ばす一方、寺岡は微増に留まり、ニチバンは微減しています。

営業利益は減少傾向にあり、経済的な「堀」が埋まりつつあるように感じられます。

同業2社と比較すると、寺岡の営業利益率が最も低水準になっています。

過去10年間で自己資本の成長は1.21倍に留まっています。

③割安性

当企業の流動資産の内訳を見ると、現預金が40%を占めています。

負債の内訳を見ると、有利子負債は7%に留まっています。

流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は120億円です。

時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.81になり、現時点でネットネット株に該当していません

続いて、NCAVの過去10年間の推移を見ると、2019年以降は伸び悩んでいます。

2019年以前は、ネットネット株指数1.0(グレーの線)以上で推移しており、再度0.66を下回る水準に達したならば、購入チャンスと言えそうです。

株価は過去3年間の底値圏である300円台で推移しています。

このようにネットネット株指数からすると割安とは言い難いのですが、株価水準に照らすと、それなりに割安といえる水準です。

④資本効率性

ROEは減少傾向にあります。資金効率の問題点をデュポン分解して探ってみます。

当期純利益率は2%を切って推移しており、競争優位性の決定的な低さを窺わせます。

総資産回転率も悪化しており、0.6回程度に下がっています。

財務レバレッジは1.2倍程度に抑制されています。

こうして見ると、競争優位性や価格決定権の弱さのためか、純利益率が非常に低く、そのために資本効率性が低水準に留まっているように見受けられます。

⑤株主還元

営業CFの減少により、フリーキャッシュフローがマイナスに陥ることも多く、株主還元余力が乏しいように感じられます。

配当実績を見ると、増配と減配を繰り返しながらも、配当が支払われており、1998年以降無配の年はありません

現在の配当利回りは2.75%であり、配当性向の推移から見ても継続的な増配を行う余力はなさそうです。

なお、買収防衛策は導入されていません伊藤忠商事が25%の株式を保有する筆頭株主です。

まとめ

これからの台風シーズン、防災関連銘柄としても注目を集める銘柄です。

ネットネット株指数的には割安でなく、純利益率が低いため、資本効率性に魅力がありません。また、フリーキャッシュフローや配当性向の推移から見ても、株主還元が積極的に講じられることを期待できません。

ただ、ネットネット株指数が0.66に達する水準(297円)に下落することがあれば、ポートフォリオに入れておきたい銘柄です。

今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。

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