三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306)の銘柄紹介 ― メガバンクは割安か?

先日、読者の方から、三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306)は割安と言えるか、お尋ねいただきました。銘柄観察の幅が広がるため、このようにお問い合わせは歓迎です。

もっとも、資産バリュー視点での分析になる点をご了承の上、以下の記事をご覧いただきたいと思います。

三菱UFJはネットネット株投資家として保有できる銘柄なのか、以下の5つの要素を1つずつ確認してゆきます。

①業種

三菱UFJは、ご存知のとおり、国内最大の民間金融グループです。

したがって、個人的に投資対象から外している不動産業・金融業銘柄には該当します。

とはいえ、ベンジャミン・グレアムが『賢明なる投資家』の中で、防衛的投資家の金融株への投資について、「他の普通株と同じような投資結果を生む」、「収益と簿価との釣り合いで株価を見るという(事業株や公益事業株と)同じ数値基準を用いて銘柄を分析すべき」と語っているとおり、一般的には十分に投資対象になる銘柄です。

この記事では、三菱UFJの同業他社として、他のメガバンク2行である三井住友フィナンシャルグループ (8316)、みずほフィナンシャルグループ (8411)と比較してゆきます。

②企業規模

時価総額は7兆8,490億円です。

売上高は上昇傾向にあります。

三菱UFJは、2002年と比較して1.85倍に売上高を拡大させている一方、三井住友は1.03倍、みずほは0.62倍に留まっており、圧倒的に売上高を伸ばしています。

2004年以降、経常利益を出し続けています。

また、他の2行と比較すると、2003年や2009年の落ち込みが緩やかです。

自己資本は、過去10年間で1.88倍に拡大しています。

このように、売上高・経常利益・自己資本とも、比較的良好な伸びを見せています。

③割安性

非ネットネット株であるため、PERとPBRから割安性を見てみます。

PERは8.8倍、PBRは0.44倍で、グレアム指数は「3.87」と割安な水準です。

他行と比較すると、三井住友が「3.62」、みずほが「3.35」と大きな差はありません。

一方、株価は現在のところ500円代後半で推移しており、過去3年間の底値圏とは言えません。

このようにPER・PBRからといった指数的には割安ですが、株価的に「割安」とは言えにくい水準です。

④資本効率性

ROEは5%程度に留まっています。資金効率の内容をデュポン分解してみます。

当期純利益率を見ると、10%を超える年が多く、収益性はまずまずです。

一方、総資産回転率は0.02回程度ですが、これは他のメガバンクと同水準です。

財務レバレッジは20倍を超過しています。

金融機関であるため、総資産回転率は低く、財務レバレッジは高水準です。

⑤株主還元

多くの年で、フリーキャッシュフローがプラスを維持しており、株主還元余力があるように感じられます。

また、営業CFもプラスを維持し、本業での儲けが出ていることを示唆しています。

配当実績を見ると、安定して配当が支払われています。

配当利回りは4.65%で、高配当銘柄です。

買収防衛策は導入されていません

まとめ

同業他社と比較して、売上高・経常利益・自己資本を伸ばしている企業です。

グレアム指数的には割安ですが、株価的には目立った割安感はありません。

資本効率性もまずまずであり、キャッシュフローも安定しているため、今後も増配などを期待することができそうです。

金利動向にも注意を向ける必要がありますが、長期的に投資するのであれば、今の水準で購入しても大きな損失をもたらすことはない優良株だと思います。

今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください