先日、Twitterで、東邦アセチレン(4093)という東証1部上場銘柄を取り上げてもらいたい、というご要望をいただきました。
そこで、今回は、この東邦アセチレンが、ネットネット株投資家として保有できる銘柄なのか、調べてみたいと思います。
以下の5つの要素を1つずつ確認してゆきます。
目次
東邦アセチレンは、東北地盤の工業用ガスを主力とする化学メーカーです。
したがって、個人的に投資対象から外している不動産業・金融業銘柄には該当しません。
時価総額が83億円の小型株です。
売上高は300億円程度で伸び悩んでいます。


自己資本は過去10年間で2.2倍に拡大しています。



時価総額は低めであり、自己資本が拡大している点は高評価です。
当企業の流動資産の内訳を見ると、現金預金が45%を占めており、資産内容が安定的です。



負債の内訳を見ると、リース債務を含む有利子負債が30%を占めています。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は47.8億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は1.74になり、現時点でネットネット株には該当していません。



続いて、NCAVの過去10年間の推移を見ると、拡大傾向にあります。



ネットネット株指数は1.0未満で推移したことはありませんが、急速に割安になっています。



1,100円台後半の現在の株価水準は、過去3年間の底値圏と言えます。



このようにネットネット株指数からすると割安であるとはいえませんが、この銘柄の過去の推移からすると買い時であるようにも思えます。
ROEは、好況期には7%を超えて推移しています。資金効率の内容をデュポン分解して探ってみます。



当期純利益率は2%程度に留まっていますが、上昇傾向にあります。



一方、総資産回転率は100%程度であり、効率性が悪化しています。



財務レバレッジは2倍程度に抑制されています。



こうして見ると、純利益率の改善が資本効率性の安定に寄与していることが分かります。
2013年以降、フリーキャッシュフローはプラス圏で推移しています。



配当が支払われており、株主還元姿勢が見られる点は高印象です。



配当利回りは3.79%に達しているうえ、配当性向は40%に達しているため、さらなる増配余力は乏しそうです。



なお、買収防衛策は導入されていません。
また、光通信が2.08%の株式を保有しています。
売上高は伸び悩んでいるものの、企業規模が小さく、自己資本は拡大しています。
また、ネットネット株指数的には十分な割安度に達していないものの、株価は底値圏で低迷している銘柄です。
さらに、純利益率が改善しており、資本効率性が向上しています。
株主還元姿勢が見られる点も好印象です。
とはいえ、ネットネット株指数が1.74という水準であるため、個人的には投資対象とすることは難しい銘柄です。
暴落時にネットネット株指数が1.0を割り込む水準では、買出動を検討できるかもしれません。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。