今週、伊勢化学工業(4104)という銘柄を購入しました。
お察しのとおり、この銘柄はネットネット株ではありませんので、本来であれば投資対象にはなりません。
しかし、この銘柄は「親子上場を解消」をカタリストとして株価を上げる可能性が高いと考え、購入に踏み切りました。
この記事では、伊勢化学工業を詳しく調べてみました。
「親子上場の解消」というテーマに関心をお持ちの方や、伊勢化学工業に興味をお持ちの方にお読みいただければ嬉しく思います。
目次
親子上場とは、親会社と子会社が共に株式市場に上場していることです。
日本では、他の先進国よりも親子上場の割合が高く、海外投資家から不評だと言われています。
なぜなら、子会社が上場していると表面上は意思決定が独立していたとしても、親会社の利益を優先して子会社の他の少数株主の利益が阻害されてしまうためです。
このような海外投資家からの批判に応えて、東証は親子上場への懸念を深めており、昨年から「親子上場の解消」が大きなテーマとして注目を浴びるようになっています。
たとえば、2019年12月24日付の日本経済新聞では、
親子上場の解消が加速している。親会社が上場する上場企業は20日時点で288社(予定を含む)と1年で15社減った。過去3年は年平均で6社減となっており、解消ペースが速くなっている。東芝が3社の完全子会社化を打ち出すなど、事業を取捨選択するなかで資本関係を見直す例が増えた。親子上場に対する株主の目が厳しくなっていることも解消を後押ししている。
三菱UFJ信託銀行によると上場子会社は2015年末には321社あったが、今年は300社を下回ってきた。ソフトバンクのように新たな子会社上場も多く、昨年まで減少は緩やかだった。
出典:2019年12月24日日本経済新聞「親子上場 解消が加速 1年で15社」
と報じているとおりです。
今年もこの流れは継続するのではないか、と考えています。
伊勢化学工業は、
AGC子会社の専門化学メーカーである。ヨウ素及びヨウ素化合物、電池材料に使用される金属化合物の生産や、天然ガスの採取・販売を行っている。特に、ヨウ素は、日本、アメリカ、チリのみで生産されているもので、伊勢化学工業は、日本のヨウ素生産量の4割以上、世界の生産量の約12%を供給する世界的有力メーカーである。地中から汲み上げられた鹹水を原料としてヨウ素を製造している。鹹水の採取地は千葉県の南関東ガス田及び宮崎県の宮崎ガス田である。
出典:Wikipedia「伊勢化学工業」
という企業です。
大きな注目ポイントは、伊勢化学工業の親会社がAGC(5201)であることです。
ちなみに、AGCは、
世界最大手のガラスメーカーである。1907年創立。三菱グループの一員であり、三菱金曜会及び三菱広報委員会の会員企業である。2016年現在の主力製品は、建築用ガラス、フッ素化学製品。2018年7月に商号を旭硝子株式会社(あさひがらす)から変更した。
出典:Wikipedia「AGC」
という大企業です。
伊勢化学工業の株主構成を見ると、AGCが52.78%を保有していることが分かります。



伊勢化学工業の過去10年間の月足チャートを見る限り、高値圏にあるわけではありません。



予想PERは15.72倍、PBRは0.72倍です。
伊勢化学工業の売上高は安定しています。



ヨウ素の国際市況の下落の影響を受け、2017年度は大幅減益を計上していますが、過去10年間に最終赤字を計上した年度はありません。



配当実績も安定しています。



配当利回りは1.97%です。
次の4つの理由から、伊勢化学工業は親子上場解消の可能性が高い銘柄だと考えています。
理由① 親子間の時価総額のバランス
子会社の時価総額が、親会社の時価総額と比べてあまりに大きいと親会社にとって財務的負担が重すぎる可能性があります。
子会社・伊勢化学工業の時価総額は182億円、親会社・AGCの時価総額は8813億円です。
「1:48」の時価総額の差があり、親会社AGCは伊勢化学工業に余裕を持ってTOBを仕掛けることができるはずです。
理由②親会社が国際的大企業であること
AGCは、世界最大手のガラスメーカーであり、三菱グループの一角を構成する超大企業です。
また、会長の石村和彦氏は、野村ホールディングスの取締役を務めており、親子上場解消への社会的圧力(または期待)に敏感であると推察されます。
理由③親会社の資金借り入れの容易さ
親子上場を解消するため、通常親会社は銀行から資金を借り入れます。
AGCは三菱グループの一角を占めており、三菱UFJ銀行から容易に資金を借り入れることができると思われます。
もっとも、AGCは巨額なCashを保有していますので、借り入れなどせずとも容易にTOBを仕掛けられそうですが・・・。
理由④子会社に買収防衛策が定められていないこと
子会社・伊勢化学工業は主要な買収防衛策を取っていません。
そのため、親子上場解消のような友好的なものを含め、TOBを仕掛けやすい条件が整っています。
上記に挙げた4つの理由から、親子上場解消に動く可能性が高いのではないか、と考え、ネットネット株ではありませんが、購入に踏み切りました。
実際に今年どのような値動きになるか、楽しみな銘柄の1つです。
他にも親子上場解消をテーマに値を上げそうな割安銘柄はありますので、興味をお持ちの方はぜひ調べてみることをお勧めします。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。
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