昨日に続いて、親子上場解消期待銘柄のご紹介です。
昨日ご紹介した伊勢化学工業(4104)と同様、コスモスイニシア(8844)という銘柄を「親子上場解消」をカタリストとして株価を上げる可能性が高いと考え、購入に踏み切りました。
「親子上場解消」というテーマに関心をお持ちの方や、伊勢化学工業に興味をお持ちの方にお読みいただければ嬉しく思います。
目次
親子上場とは、親会社と子会社が共に株式市場に上場していることです。
日本では、他の先進国よりも親子上場の割合が高く、海外投資家から不評だと言われています。
なぜなら、子会社が上場していると表面上は意思決定が独立していたとしても、親会社の利益を優先して子会社の他の少数株主の利益が阻害されてしまうためです。
このような海外投資家からの批判に応えて、東証は親子上場への懸念を深めていおり、昨年から「親子上場の解消」が大きなテーマとして注目を浴びるようになっています。
コスモスイニシアは、
一次取得者向けのファミリータイプのマンション開発を首都圏中心に展開する、マンション・一戸建を取り扱うデベロッパーである。2012年マンション供給戸数ランキングでは首都圏8位(922戸)。 販売部門が分社化されていないことから、販売業務も直接自社で行っている。
Wikipedia「コスモスイニシア」
という会社です。
2019年3月時点で、マンション売上戸数は全国20位の414戸となっています。
そして、注目は、大和ハウス工業(1925)の子会社であることです。
大和ハウス工業(1925)は、賃貸住宅・商業施設・事業施設をも手掛ける総合住宅メーカーです。
日経225にも採用される大企業です。
コスモスイニシアの株主構成を見ると、大和ハウス工業が63.19%の株式を保有していることが分かります。



コスモスイニシアの過去10年間の月足チャートを見る限り、高値圏にあるわけではありません。



PERは5.78倍、PBRは0.79倍となっており、他の不動産企業と同様にかなりの割安です。
コスモスイニシアの売上高は、マンション販売戸数の減少の影響で2014年にかけて減少しましたが、2014年以降は回復傾向にあります。



2013年に最終利益が赤字に転落しましたが、これは事業化中止物件の地中埋設物除去工事費用と海外事情撤退損失という一時的な要因によるものです。



全体的に、安定した業績となっています。
2016年から配当が支払われており、配当利回りは1.7%です。



ネットネット株として購入をするわけではありませんが、一応、正味流動資産も確認してみます。
流動資産は不動産を含んでおり、負債総額は多いとはいえ、正味流動資産は214億円ほどになります。



時価総額は248億円であり、ネットネット株指数は「1.16」となります。



したがって、ネットネット株には該当しませんが、かなりの割安銘柄であることに間違いありません。
次の4つの理由から、親子上場解消の可能性が高いと考えています。
理由① 親子間の時価総額のバランス
子会社の時価総額が親会社の時価総額と比べてあまりに大きいと、親会社にとって財務的負担が重すぎる可能性があります。
子会社・コスモスイニシアの時価総額は248億円、親会社・大和ハウス工業の時価総額は2兆2365億円です。
「1:90」の時価総額の差があり、親会社・大和ハウス工業はコスモスイニシアに余裕を持ってTOBを仕掛けることができるはずです。
理由② 過去のTOB実績
親会社・大和ハウス工業には、過去に子会社をTOBし、親子上場を解消した次のような実績があります。
- 大和工商リース(9762) – 2006年7月26日上場廃止、完全子会社化
- ダイワラクダ工業(9918) – 2006年7月26日上場廃止、完全子会社化
- 大和物流(9054) – 2006年7月26日上場廃止、完全子会社化
このときの大和ハウス工業の株価はこのあたり。



2007年初の高値から株価を落としつつある状況で、収益性を上げることを狙い、子会社をTOBしたのかもしれません。
オリンピック後の不動産市況を考慮に入れると、収益性を上げるために子会社にTOBを仕掛ける可能性は低くないはずです。
理由③ 買収防衛策は無し
子会社・コスモスイニシアは主要な買収防衛策を取っていません。
そのため、親子上場解消のような友好的なものを含め、TOBを仕掛けやすい条件が整っています。
上記に挙げた3つの理由から、親子上場解消に動く可能性が高いのではないかと考え、ネットネット株ではありませんが、購入に踏み切りました。
これまで、親子上場の解消は製造業に多く見られましたが、昨年末のJフロント(3086)によるパルコ(8251)のTOBに見られるように、内需系企業も動いています。
また、コスモスイニシアはネットネット株に近い割安度であるため、仮にTOBによる上場廃止に至らないとしても、底値は固いものと考えます。
今年の夏に掛けて、TOBを期待する値動きになると思うのですが、実際の動きはどのようになるでしょうか。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。