東京証券取引所は、市場第一部・市場第二部・マザーズ・JASDAQ(スタンダード及びグロース)の5つの市場区分に関して、2022年4月1日を目途に、プライム市場・スタンダード市場・グロース市場の3つの市場区分への見直しを実施することを発表しています。
そして、東証は、6月30日の移行基準日におけるデータをもとに、全上場企業3,738社について、新市場区分の上場維持基準への適合状況を調べる1次判定を行い、その結果を7月9日に各社へ通知しました。東証によると、全上場企業の約26%の965社が移行先として想定される新市場の基準を満たしていない、とのことです。
ネットネット株の多くは、スタンダード市場への移行が想定されますが、はたしてスタンダード市場の基準を満たしているのでしょうか?
この記事では、現時点でのネットネット株の中でスタンダード市場に移行できない銘柄はあるのか、調べてみました。
目次
東証が発表しているスタンダード市場の上場基準の概要は以下のとおりです。
- 株主数が400人以上であること
- 流通株式数が2,000単位以上であること
- 流通株式時価総額が10億円以上であること
- 流通株式比率が25%以上であること
- 最近1年間の利益が1億円以上であること
- 純資産額が正であること
この条件の中で注意が必要なのは、「流通株式」です。
これまで、「流通株式」とは、上場株式のうち、「上場株式数の10%以上を所有する株主が所有する株式」、「役員が所有する株式」、「自己株式」、「役員以外の特別利害関係者の所有する株式(新規上場・一部指定時のみ)」を除いたものを意味してきました。
しかし、上場株式数の10%未満であれば、実態として流通性が乏しいと考えられる株主の保有する株式も流通株式として取り扱っており、流通株式に関する基準が適切に機能していない懸念が指摘されていました。
そこで、「流通株式」の定義が見直され、政策保有株など、実態として流通性が乏しいと考えられる株主の保有株式も、株主の保有比率に関わらず流通株式から除外されることになりました。
まず、次の2銘柄がプライム市場の上場基準に適合しています。
日神グループ(8881)とエスリード(8877)は会社側が、プライム市場の上場維持基準に適合していることを確認し、発表しています。
次の27銘柄は、会社発表がないものの、スタンダード市場の上場基準に適合していると思われる銘柄です。
東証1部に上場し、プライム市場への移行が期待されていた銘柄であれば一時的に売り込まれる可能性はありますが、これらの大半の銘柄は大きく売られることもなく、順当にスタンダード市場への移行が進められていくと考えられます。
次の14銘柄は、スタンダード市場の上場基準に適合しないと思われる銘柄です。
これら14銘柄は、スタンダード市場に移行できず上場廃止の危機を迎えることになるため、一時的に売り込まれる可能性があります。
しかし、一定期間の猶予が与えられるため、大きく売り込まれた場合は購入チャンスになることが考えられます。
このように札証や名証に上場する5銘柄を除くネットネット株を確認すると、プライム市場への移行が2銘柄、スタンダード市場への移行が27銘柄、スタンダード市場への移行が困難な銘柄が14銘柄ありました。
とりわけスタンダード市場への移行が難しいと思われる14銘柄は、会社側が対策を講じなければ上場維持を果たすことが困難です。そこで、なんらかの対策を講じざるを得ず、そのことが株価上昇のカタリストになる可能性があります。
今後の会社発表や、株価の動向には注目していきたいところです。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。