この連休中、『大地震と株式投資』(菊地誠一)を読んでいます。
この中で、著者は、
投資家は目下、保有している個別銘柄の株式を総点検して、必要な対策をとることが必要です。
『大地震と株式投資』
と、保有銘柄の総点検をするよう強く推奨しています。
そこで、この記事では、最大の脅威ともいえる南海トラフ巨大地震を念頭に置き、現在保有する23銘柄の本社所在地を確認することによって,どの程度のリスクを負っているのか、調べてみます。
目次
南海トラフ巨大地震とは、フィリピン海プレートとアムールプレートとのプレート境界の沈み込み帯である南海トラフ沿いが震源域と考えられている巨大地震のことです。
南海トラフ巨大地震がひとたび発生すると、静岡県から宮崎県にかけての広い範囲で震度7となる可能性がある、とされています。



また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来が想定されています。



政府の地震調査委員会は2022年1月、南海トラフで今後40年以内にマグニチュード8~9級の地震が発生する確率を10年以内では「30%程度」、30年以内では「70~80%」、40年以内では「90%程度」と発表しています。
つまり、若手の投資家にとって、これからの投資人生において、この震災に直面する可能性は極めて高いと言えます。
下の表は保有銘柄の本社所在地・最大震度を一覧にしたものです。
本社所在地 | 最大震度 | ||
---|---|---|---|
3440 | 日創プロニティ | 福岡県福岡市南区向野 | 5弱 |
3537 | 昭栄薬品 | 大阪府大阪市中央区安土町 | 6弱 |
3952 | 中央紙器 | 愛知県清須市春日宮重町 | 6強 |
4102 | 丸尾カルシウム | 兵庫県明石市魚住町西岡 | 6強 |
4231 | タイガーポリ | 大阪府豊中市新千里東町 | 6強 |
5078 | セレ | 東京都中央区京橋 | 5強 |
5304 | SECカーボン | 兵庫県尼崎市潮江 | 6弱 |
5816 | オーナンバ | 大阪府大阪市東成区深江北 | 6弱 |
5979 | カネソウ | 三重県三重郡朝日町大字縄生 | 6強 |
5983 | イワブチ | 千葉県松戸市上本郷 | 5強 |
6142 | 富士精工 | 愛知県豊田市吉原町平子 | 6強 |
6349 | 小森 | 東京都墨田区吾妻橋 | 5強 |
6362 | 石井鐵 | 東京都大田区東糀谷 | 5強 |
6396 | 宇野沢鉄 | 東京都大田区下丸子 | 5強 |
6715 | ナカヨ | 群馬県前橋市総社町 | 5強 |
7021 | ニッチツ | 東京都港区赤坂 | 5強 |
7467 | 萩原電気 | 愛知県名古屋市東区東桜 | 6強 |
9401 | TBS | 東京都港区赤坂 | 5強 |
9404 | 日本テレビ | 東京都港区東新橋 | 5強 |
9409 | テレビ朝日 | 東京都港区六本木 | 5強 |
9867 | ソレキア | 東京都大田区西蒲田 | 5強 |
9885 | シャルレ | 兵庫県神戸市須磨区弥栄台 | 6弱 |
9914 | 植松商会 | 宮城県仙台市若林区卸町 | – |
本社所在地を見ると,東京都が9社、大阪府と愛知県・兵庫県が3社ずつとなっており、地震の揺れが激しい太平洋ベルトに集中しています。
一方、震源域とされる府県に立地する企業は愛知県と三重県の4社に留まっています。
震度6以上の揺れに襲われる可能性の高い企業は10社に達しています。
下の表は保有銘柄の海岸からの距離・標高・津波の高さを一覧にしたものです。
海岸からの距離 (KM) | 標高 (M) | 予想される 津波の高さ (M) | ||
---|---|---|---|---|
3440 | 日創プロニティ | 5.1 | 9 | – |
3537 | 昭栄薬品 | 8.4 | 4 | – |
3952 | 中央紙器 | 20.7 | 6 | – |
4102 | 丸尾カルシウム | 0.3 | 7 | 2 |
4231 | タイガーポリ | 18.1 | 75 | – |
5078 | セレ | 3.2 | 3 | – |
5304 | SECカーボン | 5.1 | 1 | – |
5816 | オーナンバ | 12.9 | 2 | – |
5979 | カネソウ | 3 | 0 | 1.1 |
5983 | イワブチ | 18 | 21 | – |
6142 | 富士精工 | 26.3 | 20 | – |
6349 | 小森 | 8.1 | 1 | – |
6362 | 石井鐵 | 0.8 | 2 | – |
6396 | 宇野沢鉄 | 6.4 | 4 | – |
6715 | ナカヨ | 119 | 118 | – |
7021 | ニッチツ | 3 | 11 | – |
7467 | 萩原電気 | 11 | 11 | – |
9401 | TBS | 3 | 11 | – |
9404 | 日本テレビ | 2.1 | 3 | – |
9409 | テレビ朝日 | 3.6 | 23 | – |
9867 | ソレキア | 4.2 | 4 | |
9885 | シャルレ | 8.3 | 119 | – |
9914 | 植松商会 | 9.1 | 8 | – |
ハザードマップによると、丸尾カルシウムは最大2m、カネソウは最大1.1mの津波が達するエリアに所在しています。
南海トラフ地震によって本社が津波被害に遭う可能性のある企業はこの2社に留まっています。
こうして保有銘柄の本社所在地から見る限りにおいては、2社が津波被害に遭う可能性があることが分かりました。
しかし、特に問題になるのは、本社だけではなく、工場などの設備の被害かもしれません。
そこで、次回の記事では、主要な工場が南海トラフ巨大地震の被害に遭う危険性を考えてみます。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。