先日、ジェコス(9991)の銘柄分析をしてもらいたい、というご要望をいただきました。
そこで、この記事では、資産バリュー的な視点でジェコスは「買い」と言えるか、調べてみました。
目次
ジェコスは、JFE系の建設仮設材リース最大手企業です。
したがって、不動産業や金融業銘柄ではありません。
この記事では、比較対象銘柄として、東日本地盤の建設仮設材の販売・リース大手である丸藤シートパイル(8046)と丸紅系の建設仮設材リース大手である丸紅建材リース(9763)を取り上げます。
ジェコスの時価総額(8月18日現在)は318億円で、ネットネット株界隈では規模がやや大きい銘柄です。
当企業の流動資産の内訳を見ると、売上債権が50%を占めていますが、主要取引先は大手ゼネコンであるため、大きな懸念点はありません。



負債の内訳を見ると、有利子負債は6%に留まっています。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は276.3億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は1.15になり、現時点(8/18時点)でネットネット株に該当していません。



ネットネット株ではありませんが、2016年以降、もっとも割安な水準で推移しています。



NCAVは美しい上昇トレンドにあります。



売上高は、特に2012年以降、上昇傾向にあります。



類似企業の売上高と比較すると、丸藤や丸紅建材を大きく引き離しています。



営業利益は2010年に損失を計上しているものの、それ以降は黒字を維持しています。



類似企業の営業利益率と比較すると、ジェコスだけが5%超で推移しており、ある程度の「経済的な堀」を有していることを示しています。



ROEは2013年以降、7%超で推移しています。資本効率の課題をデュポン分解して探ってみます。



純利益率は、4%前後で推移しています。



総資産回転率は上昇傾向にあり、1.0回を上回っています。



財務レバレッジは2倍以下に抑制されています。



このようにジェコスのROEは、一定の純利益を計上しており、まずまずの水準を維持しています。
自己資本は上昇傾向にあります。



営業キャッシュフローはプラスを維持しており、フリーキャッシュフローも大半の年度でプラス圏で推移しています。



キャッシュフローが安定しているため、着実な配当実績を残しています。



現在の株価(8/18終値868円)は、過去3年間の安値水準よりも30.5%高めで推移しており、底値圏にあるとは言えません。



買収防衛策は導入されていません。
JFEスチールが50.85%の株式を保有しています。
ネットネット株指数が1.0以上であるため、個人的には購入対象銘柄にはなりませんが、売上高・売上利益・自己資本・正味流動資産(NCAV)が着実に積み上がっている優良銘柄です。ROEもキャッシュフローも健全です。今後の値上がりを期待できる銘柄のように感じました。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。