ネットネット株の1つに日神グループホールディングス (8881)という東証1部上場銘柄があります。
日神グループホールディングスは、日神不動産、多田建設を中核とする不動産デベロッパーです。
不動産業や金融業を営む企業のバランスシートは、不動産や金融資産の占める割合が多く、安全域を図ることが難しいため、極力、保有対象にはしないようにしています。
しかし、日神グループホールディングスは割安度が深い銘柄であるため、ネットネット株投資家として、購入対象となり得る銘柄なのか、調べてみました。
①割安性・②収益性・③財務トレンド・④下方リスク・⑤テクニカル指標という5本のモノサシを使って、分析してみます。
目次
流動資産の内訳を見ると、現預金が50%を占めており、非常に安定的です。



一方、負債では、不動産銘柄らしく、有利子負債が72%も占めています。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は428億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.45になり、非常に割安なネットネット株です。



まず、売上高は、2018年以降、伸び悩んでおり、2021年3月期も減収予想です。



当期純利益については、リーマンショック時に132億円の最終損失を計上しましたが、他の年度は黒字を確保し続けています。



過去10年間の平均ROEは9.33とであり、収益性が高い企業です。



日神グループホールディングスの財務トレンドはどのようなものでしょうか?
まず、BPS(一株当たり純資産)はリーマンショック以降、一貫して上昇トレンドをたどっています。



NCAVもしっかり上昇トレンドをたどっています。



下図は2016年以降のネットネット株指数の推移を示したものです。



2017年から2018年にかけて非ネットネット株でしたが、2018年11月に再びネットネット株化し、2020年5月以降はネットネット株指数が0.5を下回って推移しており、非常に割安です。
流動比率は314.5%で健全な状態ですが、有利子負債自己資本比率が49.44%で、財務的なリスクを抱えています。
現在の株価は、アベノミクス以降の安値圏で推移しており、RSI的にもけっして割高な水準ではありません。



ネットネット株指数は0.45であり、非常に割安なネットネット株です。
また、過去10年間の平均ROEは9.33と高収益ですし、過去数年のネットネット株指数の推移を見ても非常に割安な水準に位置しており、テクニカル指標的にもまったく割高ではありません。
しかし、リーマンショック時には巨額の最終損失を計上し、有利子負債自己資本比率も高くなっている点は気がかりです。
したがって、上記要素を考慮すると、不動産デベロッパーで負債が多いことを許容できる場合にのみ、ポートフォリオに含めておける銘柄かと思います。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。