電響社(8144)の銘柄紹介 ― 巣ごもり関連銘柄の割安性は?

ネットネット株候補の1つに、電響社(8144)という東証2部上場銘柄があります。

電響社は、電気機器、音響通信機器の卸売業などを行う企業であるため、個人的に投資を控える不動産・金融業銘柄ではありません。

現在の電響社は、ネットネット株投資家として、購入可能な銘柄なのでしょうか?

①割安性・②収益性・③財務トレンド・④下方リスク・⑤カタリストという5本のモノサシを使って、分析してみます。

電響社の割安性:

流動資産の内訳を見ると、売上債権が30%を占めています。

一方、負債では、有利子負債が33%を占めています。

流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は102億円です。

※単位:百万円

時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.82になり、現時点ではネットネット株に該当しません。

※単位:百万円

電響社の収益性:

株価チャートを見ると、コロナショック時に850円を割り込みましたが、現在は1,200円台後半で推移しています。

出典:SBI証券

株価と比較して、収益性はどのような状態にあるでしょうか?

まず、売上高は上昇傾向にあり、過去10年で最高水準に達しています。

※単位:百万円

当期純利益については、過去10年間で最終赤字の年度はありませんが、2020年度は過去10年で最低水準です。

※単位:百万円

過去10年間の平均ROEは2.79と低水準であり、収益性が低い企業です。

電響社の財務トレンド:

電響社の財務トレンドはどのようなものでしょうか?

まず、BPS(一株当たり純資産)は、2011年以降、積み上げられていますが、この数年は足踏みを続けています。

※単位:円

NCAV拡大傾向にあります。

※単位:百万円

下図は各期末時点(3/31)でのネットネット株指数の推移を示したものです。

2011年以降、ネットネット株指数は0.7~1.1の間で推移しています。

したがって、2020年3月の0.6台前半の水準は非常に割安だったと思いますが、現在の水準0.82は、あまり割安感が感じられない水準です。

電響社の下方リスク:

有利子負債自己資本比率は13.1%、流動比率は228.7%で、全く問題のない水準であるため、財務面での大きな下方リスクを抱えているわけではありません。

電響社のカタリスト:

株価が大きく上昇するカタリストはあるのでしょうか。

巣ごもり需要などで株価は上昇しているものの大きく値上げするカタリストは見出すことができません

まとめ:

銘柄評価
割安性
(2.0)
収益力
(3.0)
財務トレンド
(3.0)
下方リスク
(4.0)
カタリスト
(1.0)
総合評価
(2.0)

ネットネット株指数は0.82であり、ネットネット株に該当しません。

過去10年間の平均ROEは2.79と、収益性も低めです。

NCAVは上昇トレンドにあるものの、ネットネット株指数の推移を確認しても、この銘柄にとっての割安な水準には位置していません。

有利子負債自己資本比率や流動比率にも大きな問題はなく、下方リスクは乏しく感じられます。

が、目立ったカタリストを見出すことができません

したがって、上記要素を考慮すると、当面購入対象にすることは難しそうな銘柄です。

今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。

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