カノークス(8076)の銘柄紹介 ― 割安な鉄鋼商社株は買いか?

少し前までネットネット株だった銘柄にカノークス(8076)という名証2部上場企業があります。

カノークスは、4月28日に2021年3月期の決算を発表し、売上高は14.9%の減収、経常益は38.7%の減益でした。

このカノークスは、ネットネット株投資家として、投資対象になる銘柄でしょうか?

下記の購入基準に該当するか、1つずつ確認してゆきます。

①不動産業・金融業銘柄に該当しないか?

当企業は、トヨタなど自動車向けの鉄鋼商社中堅企業です。

したがって、不動産業・金融業銘柄には該当しません。

②ネットネット株指数[時価総額/正味流動資産(NCAV)]が0.66以下か?

当企業の流動資産の内訳を見ると、売上債権が62%を占めています。もっとも、取引先はフタバ産業などのトヨタ自動車系列の大手自動車部品会社であり、大きな問題はありません。

負債の内訳を見ると、有利子負債が56%に達しています。

流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は111億円です。

時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.85になり、ネットネット株には該当しません

③過去10年間の売上高・EPS・NCAVが下降トレンドをたどっていないか?

売上高は、2006年以降、1000億円台前半で推移しています。

EPS(1株当たり利益)は、伸び悩んでいるとはいえ、2003年以降、最終黒字を維持している点は評価できます。

NCAVは2018年をピークに伸び悩んでいます。

④好況期のROEが7%以上あり、直近10年間でBPSが2倍近く成長しているか?

1998年以降のROEの推移を見ると、2004~2008年には10%台、2011年以降の好況期には7%を超えています。

BPSは一貫して拡大しており、2011年以降に限っても2.01倍に成長しています。

⑤好況期にネットネット株指数1.0を回復しているか?

2017年から2018年にかけて、ネットネット株指数が1.0を回復しています。

⑥時価総額は100億円以下か?

時価総額は95.1億円です。

⑦流動比率が150%以上、かつ、有利子負債自己資本比率が50%未満であるか?

流動比率は171.7%で低めではありますが、許容範囲内です。

しかし、有利子負債自己資本比率は82.3%に達しています

⑧株価は過去3年の底値圏にあるか?

過去3年間の週足チャートを見ると、600円台前半の底値からは大きく上昇しています。

その他の特記事項

買収防衛策は導入されていません

まとめ

①不動産業・金融業銘柄に該当しないか?OK
②ネットネット株指数[時価総額/正味流動資産(NCAV)]が0.66以下か?
③過去10年間の売上高・EPS・NCAVが下降トレンドをたどっていないか?OK
④好況期のROEが7%以上あり、直近10年間でBPSが2倍近く成長しているか?OK
⑤好況期にネットネット株指数1.0を回復しているか?OK
⑥時価総額は100億円以下か?OK
⑦流動比率が150%以上、かつ、有利子負債自己資本比率が50%未満か?
⑧株価は過去3年の底値圏にあるか?

収益性のある割安株ですが、有利子負債がやや多くなっています。ネットネット株指数が0.66を下回る水準であれば保有候補になる銘柄ではあります。

今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。

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