最近、ネットネット株入りした銘柄に三陽商会(8011)という東証1部上場銘柄があります。
三陽商会は、大手のアパレルメーカーであり、個人的に投資を控えている不動産業や金融業銘柄ではありません。
この三陽商会は、ネットネット株投資家として、購入対象となり得る銘柄なのか、調べてみました。
①割安性・②収益性・③財務トレンド・④下方リスク・⑤テクニカル指標という5本のモノサシを使って、分析してみます。
目次
流動資産の内訳を見ると、現金預金が43%を占めています。



一方、負債では、有利子負債が34%を占めています。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は161億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.49になり、非常に割安なネットネット株です。



まず、売上高は、バーバリーの契約終了も響き、右肩下がりが続いています。



当期純利益については、2016年以降赤字が続いています。



過去10年間の平均ROEは▼0.18であり、収益性のない企業です。



三陽商会の財務トレンドはどのようなものでしょうか?
まず、BPS(一株当たり純資産)は、下落トレンドにあり、大きく毀損されています。



NCAVも上昇しているわけではありません。



下図は2016年以降のネットネット株指数の推移を示したものです。



2020年末になって突如としてネットネット株化しましたが、これは、商業ビル「ギンザ・タイムレス・エイト」を売却し、流動資産が増えたことが要因であり、本質的な価値が増大したためではありません。
有利子負債自己資本比率が23.4%、流動比率は152.5%で、特に大きな問題はありません。
現在の株価は、過去10年間の最安値近辺にあり、RSIは30前後で割安な水準にあります。



ネットネット株指数は0.49と非常に割安なネットネット株です。財務指標的にも大きな問題はなく、テクニカル的にも割安な銘柄です。
しかし、2016年以降赤字が続き、BPSも正味流動資産(NCAV)も年々目減りしています。また、最近、ネットネット株化した理由も保有不動産を売却したことによるものであり、企業の本質的価値が上昇したことによるものではありません。
したがって、ネットネット株指数的にいかに割安に思えても、手出しには及ばない銘柄といえます。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。