最近、株価が下がってきたネットネット株の1つに、三光産業 (7922)というJASDAQ銘柄があります。
この三光産業はネットネット株投資家として保有できる銘柄なのか、調べてみたいと思います。
以下の5つの要素を1つずつ確認してゆきます。
目次
三光産業は、接着剤付きラベル、ステッカー等特殊印刷品専業メーカーです。
したがって、個人的に投資対象から外している不動産業・金融業銘柄には該当しません。
この記事では、三光産業の同業他社として、ウィルコホールディングス(7831)、野崎印刷紙業 (7919)と比較してゆきます。
時価総額は27億円で、急騰しやすい超小型株です。
売上高は減少傾向にあり、苦戦しています。



業界全体が厳しい環境に置かれているようで、同業のウィルコや野崎も苦戦しており、三光産業は善戦していると言えるかもしれません。



過去10年間に7回の営業赤字を計上しています。



同業2社も苦戦していますが、2021年の営業利益率は他社に劣後しています。



自己資本は縮小してしまっています。



業界全体が厳しい環境に置かれている様子が窺われ、売上高・営業利益・自己資本ともにまったく伸びていません。
当企業の流動資産の内訳を見ると、売上債権が47%を占めています。海外売上高比率が38.0%に達しており、中国やアセアンの関連債権であると思われ、ややリスクがあるかもしれません。



負債の内訳を見ると、有利子負債は18%です。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は40.5億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.66になり、現時点でネットネット株に該当します。



ちなみに、同業のネットネット株指数を調べると、ウィルコも野崎も、負債総額が流動資産を上回っているため、算出不能となり、三光産業の割安度は突出しています。
続いて、三光産業のNCAVの過去10年間の推移を見ると、まったく拡大していません。



2018年に、ネットネット株指数が1.0以上に達しており、株価の回帰性に期待を寄せることができそうです。



350円前後の現在の株価水準は、過去3年間の底値圏とまでは言えません。



このようにネットネット株指数的には割安ですが、株価水準からは割安とまでは言えない水準です。
ROEは低下傾向にあり、資本効率性は悪化しています。資金効率の内容をデュポン分解して探ってみます。



当期純利益率を見ると、純利益を生み出せていない年が多くあります。



一方、総資産回転率は90%程度に留まっています。



財務レバレッジは1.5倍程度です。



純利益の計上が急務と言えます。
フリーキャッシュフローがマイナスの年が多くなっています。
また、営業CFがマイナスの年も多く、本業での儲けが出にくくなっていることが分かります。



投資CFに対する営業CFの割合はほとんどの年で100%に達しておらず、設備投資に見合った価値創造力が発揮されていません。



財務CFは2020年・2021年にプラスになっており、経営上必要なキャッシュを稼げておらず、配当などの株主還元が十分に行われていないことを伺えます。
2020・2021年の財務CFがプラスになっているのは、借入が行われているためです。
配当実績を見ると、減配傾向が続いています。



配当利回りは1.39%であり、同業2社と比較すると配当性向が低い傾向が続いているため、利益が出れば、一時的な増配というカタリストは発動するかもしれません。



買収防衛策は導入されていません。また、アクティビストの大量保有もないようです。
同業他社と比較して、売上高・営業利益・自己資本は全く伸びていません。
また、ネットネット株指数は割安ですが、株価水準の観点からは特別な割安感はありません。
同業他社との配当性向のギャップから一時的な増配余地はあります。しかし、資本効率性の観点からも、キャッシュフローの観点からも、他のカタリストを期待する要素は見い出せませんでした。
低位株ということもあり、何らかの材料によって株価が2倍程度に吹き上がる可能性はありますが、企業としての収益を上げることができていないため、長期投資には向かない銘柄と言えそうです。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。