ネットネット株の中にNKKスイッチズ(6943)というJASDAQ銘柄があります。
このNKKスイッチズは、8/5(木)に、2022年3月期第1四半期(4-6月)の決算を発表しました。昨年同期比で、売上高は41.3%の増収、営業利益は1.4億円の赤字から3.3億円の黒字へと黒転しました。
このNKKスイッチズはネットネット株投資家として、購入候補となる銘柄なのでしょうか?
以下の5つの要素を1つずつ確認してゆきます。
目次
NKKスイッチズは、トグルスイッチに定評のある産業用小型スイッチメーカーです。
したがって、個人的に投資対象から外している不動産業・金融業銘柄には該当しません。
この記事では、寺岡製作所の同業他社として、コネクターやスイッチを製造するホシデン(6804)、コネクターなどの接続部品大手のSMK(6798)と比較してゆきます。
時価総額は35.1億円で、材料に対して非常に反応しやすい超小型株です。
売上高は70億円台で伸び悩んでいます。
同業2社と比較すると、NKKスイッチズはSMKと並び、苦戦している様子が見えます。
営業赤字の年も見られ、経済的な「堀」がほとんど無くなっているように見受けられます。
同業2社と比較すると、直近の数年間は、NKKの営業利益率が最も低水準になっています。
過去10年間で自己資本の成長は1.13倍に留まっています。
売上高・営業利益・自己資本の各数値は好ましいものではありません。
当企業の流動資産の内訳を見ると、現預金が57%を占めています。
負債の内訳を見ると、有利子負債はありません。
流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は71億円です。
時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.49になり、非常に割安なネットネット株です。
続いて、NCAVの過去10年間の推移を見ると、まったく伸びていません。
2016年以降、ネットネット株指数が1.0を上回ったことはなく、バリュートラップに陥っている可能性の高い銘柄です。
株価は4,000円台を付けており、過去3年間の底値圏水準ではありません。
このようにネットネット株指数からすると割安ですが、バリュートラップに陥っている可能性が疑われます。
ROEは低水準です。資金効率の問題点をデュポン分解して探ってみます。
当期純利益率は2%を切って推移しており、競争優位性の決定的な低さを窺わせます。
総資産回転率も悪化しており、0.5回程度に下がっています。
財務レバレッジは1.2倍程度に抑制されています。
こうして見ると、競争優位性や価格決定権の弱さのためか、純利益率が非常に低く、そのために資本効率性が低水準に留まっているように見受けられます。
営業CFの減少により、フリーキャッシュフローがマイナスに陥ることがあり、株主還元余力が乏しいように感じられます。
配当実績を見ると、増配と減配を繰り返しながらも、配当が支払われており、1998年以降無配の年はありません。
現在の配当利回りは2.4%であり、配当性向の推移から見ても継続的な増配を行う余力はなさそうです。
なお、買収防衛策は導入されていません。
売上高・営業利益・自己資本の推移から見て、業績の良い企業ではありませんし、純利益率が低いため、資本効率性にも魅力がありません。また、フリーキャッシュフローや配当性向の推移から見ても、株主還元が積極的に講じられることを期待できません。
ただ、ネットネット株指数が0.50を割り込む水準にあるため、ポートフォリオに組み込んでおいても損失を出す可能性は低そうです。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。