ロンシール工業 (4224)の銘柄紹介 ― 東ソー傘下の建材メーカーは買いか?

ネットネット候補の中にロンシール工業 (4224)という東証2部上場銘柄があります。

このロンシール工業は、ネットネット株投資家として保有し得る銘柄なのでしょうか?

以下の5つの要素を1つずつ確認してゆきます。

①業種

ロンシール工業は、東ソー傘下の防水シート、床・壁装建材メーカーです。

したがって、個人的に投資対象から外している不動産業・金融業銘柄には該当しません。

②企業規模

時価総額が70億円の超小型株です。

売上高は緩やかな減少傾向にあります。

自己資本は過去10年間では109%も拡大しています。

時価総額は低めであり、自己資本が拡大している点は高評価です。

③割安性

当企業の流動資産の内訳を見ると、現金預金が45%を占めており、資産内容が安定的です。

負債の内訳を見ると、リース債務を含む有利子負債が22%を占めています。

流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は89.9億円です。

時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.78になり、現時点でネットネット株には該当していません

続いて、NCAVの過去10年間の推移を見ると、拡大傾向にあります。

2018年以前はネットネット株指数が1.0(グレーの線)以上で推移していました。

1,500円台前半の現在の株価水準は、過去3年間の底値圏と言えます。

このようにネットネット株指数からすると格安であるとはいえませんが、過去のネットネット株指数や株価水準に照らすと割安水準に達しています。

④資本効率性

ROEは上昇傾向にあり、10%を超過する年もあります。資金効率の内容をデュポン分解して探ってみます。

当期純利益率は5%を超えており、収益性が向上しています。

一方、総資産回転率は80%を下回っており、効率性が悪化しています。

財務レバレッジは1.5倍程度に抑制されています。

こうして見ると、純利益率の改善が資本効率性の上昇に寄与していることが分かります。

⑤株主還元

2021年に投資CFが悪化し、フリーキャッシュフローがマイナス圏に転落しました。

これは次世代研究開発拠点「イノベーションセンター」の建設などに起因するものと思われます。今後の減価償却費の拡大が見込まれる上、収益性の向上に寄与する設備投資なのか疑問です。

2016年以降、配当が支払われており、株主還元姿勢が見られる点は高印象です。

配当利回りは3.92%に達しているものの、配当性向は30%程度で適正範囲内ですから減配リスクも乏しそうです。

なお、買収防衛策は導入されていません

まとめ

売上高は伸び悩んでいるものの、企業規模が小さく、自己資本は拡大しています。

また、ネットネット株指数的な魅力は乏しいものの、株価は底値圏で低迷している銘柄です。

さらに、純利益率が改善しており、資本効率性が向上しています。

新しい研究施設への設備投資により一時的にキャッシュフローは悪化している点が気になりますが、その点を差し引いても割安といえるかもしれません。

したがって、ネットネット株水準に達していないものの、ポートフォリオに加えても面白い銘柄のように思いました。

今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。

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