香港市場のネットネット株に、金宝通(HK:00320)という銘柄があります。
この金宝通は、スマートホーム向けを含む、電子制御製品の調査、開発、設計、製造及び販売を行う企業であるため、個人的に投資を控える不動産・金融業銘柄ではありません。
先週末(2020年11月27日)、金宝通は、中間決算を発表しました。売上高は、昨年同期比で▼6.2%の減収、最終利益は▼87.8%の大幅減益を計上しました。
現在の金宝通は、ネットネット株投資家としてホールドできる銘柄なのでしょうか?
①割安性・②収益性・③財務トレンド・④下方リスク・⑤カタリストという5本のモノサシを使って、分析してみます。
目次
流動資産の内訳を見ると、有価証券が48%を占めています。



一方、負債では、有利子負債の割合は18%に留まっています。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は5.61億香港ドルです。
総負債の額がやや多い点は気になります。



時価総額(希薄化後株式数✕株価)をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.52になり、引き続き割安なネットネット株です。



株価チャートを見ると、2015年の高値から大きく下落し、現在は0.3香港ドル台で推移しています。



株価と比較して、収益性はどのような状態にあるでしょうか?
まず、売上高は、直近の2年間は低下傾向にあります。



当期純利益については、過去10年間に最終赤字を計上した年はありません。



過去10年間の平均ROEは5.22%であり、まずまずの収益性です。



金宝通の財務トレンドはどのようなものでしょうか?
まず、BPS(一株当たり純資産)は、2014年から2018年にかけて上積みされていますが、直近の2年間は目減りしています。



また、NCAVは減少トレンドにあります。



一方、下図は中間期時点(9/30)でのネットネット株指数の推移を示したものです。



NCAVの減少以上のペースで株価が下がっているため、ネットネット株指数の割安度は増しており、2020年になってネットネット株化しました。
現在の水準は、この銘柄にとっても非常に割安な水準です。
業績は悪いものの、有利子負債自己資本比率は18.41%、流動比率は164.6%で現時点で大きな問題はなく、財務面での大きな下方リスクを抱えているわけではありません。
株価が大きく上昇するカタリストはあるのでしょうか。
スマートホーム向けの電子制御製品を扱っているため、材料視されやすい銘柄かもしれません。
また、欧米への輸出品の多いメーカーであるため、米中貿易摩擦の進展次第によっては、業績が急回復する可能性があります。
ネットネット株指数は0.52であり、割安なネットネット株です。
過去10年間の平均ROEは5.2%で、収益性の比較的高い銘柄です。
NCAVは下降トレンドにあるものの、現在のネットネット株指数は、この銘柄にとっても非常に割安な水準であることを示しています。
有利子負債自己資本比率や流動比率にも大きな問題はなく、下方リスクは乏しく感じられます。
また、米中貿易摩擦の進展次第によっては業績が急回復し、株価が見直される可能性があります。
上記の要素を考慮して、引き続きホールドしておきたい銘柄です。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。