最近、“Benjamin Graham’s Net-Net Stock Strategy”を読み、マイルールの見直しを行っています。
この記事では、第2の購入ルールとして、ネットネット株投資に最も重要であるNCAVに関するルールについてまとめました。
目次
NCAVとは、Net current asset valueの略で「正味流動資産」のことです。
NCAVは、次の数式によって、算出することができます。
NCAV = 流動資産 ー 負債合計 -優先株式 ー 簿外債務
ベンジャミン・グレアムは、このNCAVから33.3%割り引いた水準で取引された株式を購入することを推奨しました。
これは、
時価総額<NCAV✕0.66
という数式で表すことができます。
私は、これまで、このグレアムの勧めに従い、「時価総額がNCAVの66%以下であること」、つまり、「ネットネット株指数が0.66以下であること」という保守的な水準で購入を行ってきました。
したがって、現在のポートフォリオに含まれるすべての銘柄は、「時価総額がNCAVの66%以下であること」という条件を満たして購入したものです。
“Benjamin Graham’s Net-Net Stock Strategy”は、NCAVについて、次のような2つの基準を勧めています。
- 時価総額がNCAVの100%以下であること(コア基準、絶対条件)
- 時価総額がNCAVの50%以下であること(定量基準、望ましい条件)
このように、①コア基準でNCAVの100%以下という緩い条件を設定している理由について、こう記されています。
研究によれば、NCAV(100%)で取引するネットネット株が依然として機能することを示しています。・・・割引率を緩和すると、2つの大きな利点があります。
第一に、市場がより高い評価で取引されている場合、投資家はより大きな株式プールを維持します。これにより、高品質のネットネット株のポートフォリオを維持することができます。
第二に、この戦術は、投資家が最低1/3の割引で取引されていない幾つかの例外的な銘柄の購入を可能にします。NCAV以下の成長株、カタリストを持つ銘柄など、幾つかの例外的な銘柄は、最低割引(33%や50%の割引)で取引しなくても例外的なリターンを提供することができます。
出典:“Benjamin Graham’s Net-Net Stock Strategy”
その一方、可能であれば、②時価総額のNCAVの50%以下という厳しい条件を求める理由について、こう説明されています。
NCAVの50%未満のネットネット株の取引に関する過去40年間にわたる調査は、NCAVの割引と平均リターンとの関係を強調しています。割引が深いほど、リターンは大きくなります。・・・最高のパフォーマンスの(ネットネット株)に焦点を当てることは、理想的には可能な限り深い、より深い割引を持つ企業に投資することを意味します。
出典:“Benjamin Graham’s Net-Net Stock Strategy”
現在の日本の株式市場では、時価総額がNCAVの50%以下の銘柄が常時20-30程度存在しています。
コロナ・ショック時には、一時的に、50以上の銘柄の時価総額がNCAVの50%以下に値下がりしていたと思われます。
したがって、現在の日本の株式市場では、NCAVの半額程度の株式を集めることは比較的容易であり、購入条件を緩和する必要性は乏しいと思います。
今後、保有銘柄を組み入れる際、次のマイルールを採用してゆきます。
「時価総額がNCAVの50%以下であること」
将来的に、この基準では、ポートフォリオを組むことが困難になった場合には、海外のネットネット株の購入を検討してゆきたいと考えています。
しかし、当面は、安全域の厚いこの厳格な基準を満たした銘柄のみを購入してゆきます。