【最新】ネットネット株と買収防衛策

この数年、国内株式市場でのTOB件数は増加傾向にあり、敵対的TOBが行われたケースもあります。

ネットネット株は、株価が非常に割安に放置されているため、敵対的TOBの対象となる可能性は高いように考えられます。

そこで、経営陣は他の企業が自社を買収しないように事前に防衛策を講じることがあります。

この記事では、敵対的買収を仕掛けられる前に講じる8種類の事前予防策をご紹介します。また、ネットネット株の中で事前予防策を取っている企業がないかを確認します。

主要な買収防衛策

買収者の買収意欲を低下させるため、次のような防衛策が事前に定められることがあります。

①ポイズンピル

ポイズンピルとは、買収者が一定割合の株式を買い占めた場合などに、既存株主のみに安い価格で新株を購入できる権利を付与しておく手法です。

敵対的買収を仕掛けた買収者の持株比率が下がるため、買収を困難にすることが狙いです。

しかし、株式数が増加するため、株価が急落することになります。

②マネジメントバイアウト(MBO)

マネジメントバイアウト(MBO)とは、自社の経営陣が株式を買い取り非上場化させることです。

非上場化により、敵対的買収をするための公開株式買い付けを防ぐことができます。

③プットオプション

プットオプションとは、買収者が一定割合の株式を買い占めた場合などに、株主と債権者に対して、株式買取や弁済を要求できる権利のことです。

プットオプションが行使されると、多額の資金が必要になるため、買収防止を図ることができます。

④黄金株

黄金株とは、合併などを拒否する権利がある特別な株式です。

この株式を所有している会社は、買収に関わる株主総会決議事項について拒否権を行使できます。

この株は一株しか発行できず、自社で所有することができません。

現在、INPEXのみが、黄金株を発行している上場会社となっており、この黄金株は経済産業大臣が所有しています。

⑤ゴールデンパラシュート

ゴールデンパラシュートとは、買収される会社の役員の退職金を高く設定することです。

通常の3倍程度の退職金を設定することにより、買収後の役員退職に多額の費用を生じさせ、買収の抑止を図ることができます。

多くの従業員がリストラで解雇される中、社長や会長などが高額の退職金を持って退職するのは批判を招くこともあるため、割増退職金ではなく、条件付きのストックオプションのような形態を取ることもあります。

⑥ティンパラシュート

ティンパラシュート(ブリキの落下傘)とは、買収される会社の従業員の退職金や一時金を高く設定することです。

敵対的買収がされた後、買収した会社は従業員を退職させようとするケースがありますが、従業員の退職金や一時金を高く設定しておくことにより、買収抑止力としての機能を期待できます。

⑦チェンジオブコントロール

チェンジオブコントロールとは、経営権が変わった時に制限や契約解除を発動させる条項のことです。

この条項に重要な取引先との契約解除などを含めることにより、買収抑止を図ることができます。

⑧絶対的多数条項

絶対的多数条項とは、株主総会での議決要件を90%以上の賛成を求めるなどして厳しくすることです。

100%近くの株式を取得するには多額の資金が必要になるため、絶対的多数条項のある企業は買収しにくくなります。

ネットネット株の買収防衛策

12月16日現在のNCAV式ネットネット株91銘柄のうち8銘柄が買収防衛策を導入しています。

順位コード銘柄買収防衛策
16416桂川電機
23600フジックス
36142富士精工
48046丸藤パイル
58152ソマール
66390加藤製
76986双葉電子工業
89885シャルレ
98881日神グループHD
108617光世証券
112055日和産業
125921川岸工
136771池上通信機ポイズンピル
146930日本アンテナ
157338インヴァスト
166964サンコー
174957ヤスハラケミ
187460ヤギ
195280ヨシコン
208772アサックス
216496中北製作所
227887南海プライウッド
232982ADワークスグループポイズンピル
242917大森屋
256943NKKスイッチズ
267922三光産業
277399ナンシン
284231タイガースポリマーポイズンピル
295956トーソー
305078セレコーポレーション
316715ナカヨ
328995誠建設
335900ダイケン
347297カーメイト
351879新日本建
367427エコートレーディング
378249テクノアソシエ
388917ファースト住建ポイズンピル
396637寺崎電気
409995グローセル
415363TYKポイズンピル
425993知多鋼業
439854愛眼
448904AVANTIA
456794フォスター電
468145中部水産
475979カネソウ
488084菱電商
496346キクカワエンター
503952中央紙器工業
517902ソノコム
521948弘電社
538071東海エレ
545449大阪製鉄
556467ニチダイ
567175今村証券
578622水戸証券
588119三栄コーポ
597021ニッチツポイズンピル
608013ナイガイ
617422東邦レマック
625971共和工業所
638877エスリード
646022赤坂鉄
654629大伸化学
665983イワブチ
677314小田原機
684224ロンシール工業
696121TAKISAWAポイズンピル
702408KG情報
717442中山福
727841遠藤製作所
737521ムサシ
748871ゴールドクレスト
753504丸八HD
766973協栄産業
777537丸文ポイズンピル
787927ムトー精工
795753日伸銅
805658日亜鋼業
811905テノックス
821451KHC
837467萩原電気HD
847266今仙電機
854234サンエー化研
866342太平製作所
876867リーダー電子
888144デンキョーグループ
897885タカノ
903236プロパスト
913388明治電機

91銘柄中8銘柄がポイズンピルを明示しています。もちろん、有価証券報告書などに記載がない他の買収防衛策が採用される可能性はあります。

これら8つのほとんどの企業は、議決権割合が20%を超えるような買付行為に警告しており、アクティビストによる買付は実質困難になっています。

したがって、アクティビストによるTOBや経営陣によるMBO、他の株主価値向上策が取られることを期待することはできず、買収がらみのカタリストが生じにくい銘柄と言えそうです。

ネットネット株への投資を考慮する際には、このような買収防衛策の有無や内容も参考にして投資判断を下してゆきたいと考えています。

今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。

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