この連休中、『大地震と株式投資』(菊地誠一)を読みました。
この中で、著者は、
投資家は目下、保有している個別銘柄の株式を総点検して、必要な対策をとることが必要です。
『大地震と株式投資』
と、保有銘柄の総点検をするよう強く推奨しています。
そこで、前回の記事では、最大の脅威ともいえる南海トラフ巨大地震を念頭に置き、現在保有する23銘柄の本社所在地を確認することによって,どの程度のリスクを負っているのか、調べました。
今回の記事では、保有する銘柄が、次の高リスク条件に合致する工場などの設備を有しているかを調べました。
- 製品を製造・開発する工場が海岸から3km以内に立地している。
- 中部電力・浜岡原子力発電所から30km圏内に立地している。
条件①は、南海トラフ巨大地震による津波を想定し、条件②は東海地震の予想震源域内にある原子力発電所事故を想定したものです。
上記①、または②の条件に合致した工場などの設備を有する企業は、次の6社でした。
目次
丸尾カルシウムの本社工場(兵庫県明石市魚住町西岡)は、瀬戸内海から350mほどの場所に立地しています。
明石市ハザードマップによれば、津波浸水想定エリア内に該当しています。
本社工場では、化合炭酸カルシウムを製造しており、本社と合わせて83名の従業員、全社員の38.2%が本社・本社工場に所属しています。
化合炭酸カルシウムは当社売上高の41.5%を占める主力製品でもあり、万が一操業が停止した場合には、事業継続に大きな影響が及びます。
したがって、当社は津波被害に脆弱である可能性があります。
タイガースポリマーの静岡工場(静岡県掛川市淡陽)は、中部電力・浜岡原子力発電所から23kmの距離に立地しています。
静岡工場では産業用ホースを製造しています。
産業用ホースは栃木工場でも製造されており、拠点の分散が図られているように見受けられます。また、従業員数は82名で、全社員の14.4%にとどまっています。
万が一、操業が停止しても、業績に与える影響は軽微なものに留まる可能性が高いように思います。
SECカーボンの岡山工場(岡山県岡山市東区正儀)は、特殊炭素製品加工工場ですが、瀬戸内海に面した場所に立地しています。
しかし、岡山市ハザードマップでは、工場敷地には津波の浸水は想定されていません。
また、従業員数は19人で、全社員の7.3%に留まっています。
津波により操業が停止する可能性は乏しい上に、万が一、操業が停止しても業績に与える影響は軽微であると考えられます。
カネソウの朝日工場は、本社と同じ場所にあり、全製品を製造しています。伊勢湾から3kmの場所に立地しています。
朝日町のハザードマップによると、カネソウは最大1.1mの津波が達するエリアに所在しています。
海岸からの距離があるため、社屋や工場そのものに浸水する可能性は少ないと考えられますが、全製造力が集中した拠点であるため、万が一の事態が生じた場合には、業績に甚大な影響を与える可能性があります。
富士精工の富士事業所(静岡県富士市富士岡)は駿河湾から3km圏内に立地しています。
しかし、富士市ハザードマップでは津波の到達は見込まれておらず、大きな被害はないものと思われます。
ニッチツの松浦工場(長崎県松浦市志佐町浦免)と鹿町工場(長崎県佐世保市鹿町町口ノ里)は海に面した位置に立地しています。
しかし、ハザードマップでは、両工場ともに津波の到達は見込まれておらず、大きな被害はないものと思われます。
6社の、南海トラフの影響を考慮すると、特に脆弱であると思われるのは、丸尾カルシウムとカネソウです。
これらの銘柄は保有を継続するとしても、投資額をある程度抑えておく必要がありそうです。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。