よくある質問④-ネットネット株投資において収益指標をどの程度考慮すべきか?

「よくある質問」シリーズ第4弾として、今回の記事では、「ネットネット株投資において収益指標をどの程度考慮すべきか?」という質問を考慮しました。

私個人がネットネット株に投資する際、営業利益率やROEなど収益に関する指標を確認しており、ブログで銘柄の紹介記事をまとめる際にも、収益指標を調べています。

しかし、率直に言って、このような収益を示す指標をどの程度、重視すべきなのでしょうか?

私見では、一つの目安として、ネットネット株投資には、①資産ネットネット株と、②収益ネットネット株があり、①のカテゴリーに属する銘柄は収益指標を重視しなくても良いが、②のカテガリーの銘柄は収益指標を重視する必要があります。

①資産ネットネット株(収益指標を重視しなくても良い場合)

資産ネットネット株(収益指標を重視しなくても良い場合)とは、ベンジャミン・グレアムが提唱したNCAV式ネットネット株のことです。

ご承知のとおり、ベンジャミン・グレアムは、NCAV(流動資産-総負債)の2/3以下(=ネットネット株指数0.67未満)で株式を購入し、NCAVが1倍に達したときに売却することを推奨しました。

このグレアムの基準によれば、ネットネット株を評価するのはとても簡単です。貸借対照表から、流動資産の額を拾い、負債を差し引き、株価がNCAVの2/3を下回ったときに投資し、株価がNCAV水準に達した段階で、売却すれば良いからです。

この資産ネットネット株において、投資家は、株式価値を企業の負債を差し引いた流動資産(NCAV)そのものに見いだします。投資家は、経営者が資産価値(NCAV)を毀損していないかを確認し、問題がなければ投資することができます。

したがって、資産ネットネット株に投資を行うにあたって、原則として、NCAVを減少させる可能性の有無を判断すれば足り、収益指標の厳密な考慮は求められません。

もちろん、資産ネットネット株においても、収益指標が高ければ高いほど望ましいわけですが、収益指標よりもNCAVの質がはるかに重要な意味を持つことになります。

②収益ネットネット株(収益指標を重視すべき場合)

収益ネットネット株(収益指標を重視すべき場合)とは、ネットネット株指数が0.67~1.00の水準にあり、かつ、主要な株式価値が資産でなく、ビジネスに見出される企業のことです。

多くの場合、この収益ネットネット株に分類できるのは、シクリカル銘柄であり、不況期などで一時的に業績が低迷しているものの、景気が回復すれば収益性が向上し、NCAVをはるかに上回る株価に回復することを期待できる銘柄群です。

この収益ネットネット株に投資する場合でも、NCAVを安全域を提供する指標として活用します。

しかし、投資家は、清算価値に基づいて投資するのではなく、会社の業績回復に期待して投資することになります。したがって、過去・現在の収益指標を非常に重視し、ビジネスの健全性を判断しなければなりません。

まとめ:

上記の点をまとめると、①資産ネットネット株を投資する際に重視すべきは収益性ではなくNCAVの質であり、NCAVが毀損しないことを確信できる程度に収益性の指標を確認すれば足ります。

一方、②収益ネットネット株を投資する際には、その価値が資産ではなくビジネスにあるゆえ、収益指標を厳格に精査する必要があります。

リターンが良いのは、利益確定がNCAV水準に縛られない②収益ネットネット株ですが、安全域の確保を定量的にルール化することが難しいというデメリットがあります。

したがって、私個人としては、グレアムが説いた①資産ネットネット株を中心にポートフォリオを組んでいます。もちろん、資産ネットネット株でも、収益性が高い銘柄のほうがNCAVが拡大しやすいため、参考として収益指標も確認しています。

今回の記事もお読みくださり、どうもありがとうございました。

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