ネットネット株指数を算出するための5種類の方法

こんにちは、しーげるです。

ネットネット株に投資するには、時価総額(価格)と正味流動資産(価値)の差(安全域)を把握する必要があります。

おおよその時価総額(価格)は「四季報」や証券会社のサイトに掲載されていますので、すぐに知ることができます。

しかし、正味流動資産(価値)は決算短信をダウンロードして、電卓を叩く必要がありますし、しかも算出方法が幾つかあります。

初めてネットネット株を探したいと思う方も、どんな算出方法が良いのか戸惑うことがあるかもしれません。

そこで、この記事では、ネットネット株指数を算出するために用いられる5種類の数式とその特徴をご紹介します。

ネットネット株指数を算出するための5種類の方法:

正味流動資産を算出するために用いられることのある数式は、次の5種類です。

保守的な数式から順番に挙げると・・・

  1. NC(Net Cash)式
  2. NQ(Net Quick)式
  3. NNWC(Net-Net Working Capital)式
  4. かぶ1000式
  5. NCAV(Net Current Asset Value)式

この5種類の算出方法の特徴は次のとおりです。

①NC(Net Cash)式

NC式とは、Net Cash Stocksの略で、正味流動資産の算出式の中で最も保守的です。

NC式は、次の数式で求められます。

正味流動資産=現金・現金同等物-総負債

このように現金及び現金同等物のみを資産として考慮に入れます。

この算出方法の長所は、財務的に非常に安定した株式を抽出することができる点です。

その一方で、投資対象となる銘柄が出現しにくい点が短所です。

②NQ(Net Quick)式

NQ式とは、Net Quick Stocksの略で、NC式に次いで保守的な算出方法です。

NQ式は、次の数式で求めることができます。

正味流動資産=現金・現金同等物 + 受取手形・売掛金・電子記録債権-総負債

現金と売上債権のみを資産として考慮に入れます。

この算出方法の長所は、財務的に堅固な株式を抽出することができる点です。

その一方で、投資対象銘柄が少ない点が短所です。

③NNWC(Net Net Working Capital)式

NNWC式とは、Net Net Working Capitalの略です。

NNWC式は、次の数式で正味流動資産を求めます。

正味流動資産=現金・現金同等物✕1.00+受取手形・売掛金・電子記録債権・有価証券・投資有価証券✕0.8+その他流動資産✕0.66+固定資産✕0.15-総負債

このように流動資産・固定資産の各項目に係数を掛け、より正確な正味流動資産の算出が試みられています。

ベンジャミン・グレアムは『証券分析』の中で、下記表にあるような係数を用いることを提案しました。

「市場性のない投資」については15%程度の清算価値を見積もることになっていますが、有価証券や投資有価証券については市場性があり、売掛金並の価値を見積もることができると考えて「0.8」という係数を用いています。

出典:ベンジャミン・グレアム,デビッド・L・ドッド『証券分析』

この方式の長所は、売掛金や棚卸資産が割り引かれているため、より精緻な正味流動資産を割り出すことができることです。

一方、短所は、計算式が複雑であることです。

④かぶ1000式

かぶ1000式とは、著名な個人投資家「かぶ1000」氏が考案し採用している算出方式です。

正味流動資産=

現金・現金同等物+受取手形・売掛金・電子記録債権+有価証券+貸倒引当金+投資有価証券+貸倒引当金-総負債

このかぶ1000式の特徴は、棚卸資産などの流動資産を加味せず、固定資産の投資有価証券を加味している点です。

この方式の長所は、棚卸資産を含めないため正味流動資産の実体により近いと思われること、また固定資産に含まれる投資有価証券も含めるため保有銘柄の株価が上昇する局面では株価が上昇しやすいことが挙げられます。

一方、短所は、投資有価証券を含めているため、景気後退局面では正味流動資産の収縮が生じて、株価下落リスクが高いことが挙げられます。

⑤NCAV(Net Current Asset Value)式

NCAV式とは、Net Current Asset Valueの略で、正味流動資産を算出するために最もよく用いられる方法です。

ベンジャミン・グレアムが『賢明なる投資家』の中で繰り返し提唱している方式です。

NCAV式は、次の数式で正味流動資産を求めます。

正味流動資産=流動資産-総負債

この方式の長所は、

  • 非常にシンプルで計算が簡単。
  • 長い期間にわたって有効性が実証されてきた。

ということです。

一方、短所は、商品・製品や仕掛品、原材料・貯蔵品など、換金性が乏しい資産も含まれており、どれほど正確に正味流動資産をはじき出せているか疑問が生じることです。

まとめ:

このようにネットネット株指数を算出するための数式には、上記のような5つの方法があります。

いずれの方法にも長所と短所がありますので、その時の相場環境や自分自身のリスク許容度などを考えて選択すると良いでしょう。

これまでこのブログでは、毎週、①NC式、②NQ式、③NNWC式、④かぶ1000式、⑤NCAV式のネットネット株をランキング化して公開してきました。

個人的には、③NNWC式のネットネット株が資産バランスがよいため、主要な投資対象にしています。

今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。

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