金利で測る現在の投資環境について【2023年3月版】

日本の株式市場はレンジ相場の展開が続いています。

私がポートフォリオの大半を組むNNWC式のネットネット株銘柄の多くは、ある程度の軟調な相場展開が続いても、底堅い動きをしてくれることを期待できます。

とはいえ、有利子負債が多い銘柄やシクリカル銘柄、有価証券を多く保有する銘柄は、景気後退の影響を強く受ける可能性があります。

そこで、いざという時に適切な銘柄入れ替えをしたり、キャッシュポジションを広げたりできるよう、最低限の金利動向チェックは行っておいたほうが良いと考え、以下の点を周期的にチェックしています。

①米国政策金利が上昇していないか?

1つ目にチェックするのは、米国政策金利(FF金利)です。政策金利が上昇(金融引き締め)すると、市中に出回るお金は減り、ローン利率などは上がるため、不動産企業や有利子負債の多い企業は負の影響を受けることになります。

反対に、政策金利が下降(金融緩和)すると、市中に出回るお金は増え、ローン利率などが下がるため、不動産企業や有利子負債の多い企業の業績は上がりやすくなります。

ここでは、米国政策金利(FF金利)が1年前と比較して、0.25ポイント以上上昇していないかを確認します。

1年前と比較して、0.25ポイント以上、上昇している場合は、要注意ということになります。

上記グラフは、2016年以降の米国政策金利(FEDFUNDS)、前年同月比のポイント差を示したものですが、過去12ヶ月間に4.50ポイント拡大しており、警戒域に突入しています。

②長短金利差が縮小、逆転していないか?

2番目にチェックするのは、長短金利差です。短期金利は金融政策によって変動しますが、長期金利は景気の影響を受けて変動する傾向があります。そのため先行して動く長期金利の上昇が止まり低下すると、短期金利との金利差が縮小したり逆転したりすることがあります。この長短金利差の縮小が景気減速のサインとなるケースが多くあります。

ここでは、米国10年債利回り(長期金利)と米国政策金利(短期金利)の金利差を確認し、縮小したり逆転したりしていないかをチェックします。

金利差が1.0未満に縮小すると、要警戒です。

最新のデータでは長短金利差は△0.70となっており、要警戒です。

③長期金利が低下トレンドでないか?

3番目にチェックするのは、長期金利のトレンドです。

長期金利が低下トレンドをたどっている場合は、景気減速が警戒されます。

ここでは、1年前の長期金利と比較することでトレンドを図ります。

1年前と比べてマイナスになる場合は、長期金利が下落トレンドに陥っており、要警戒です。

現時点では、米国長期金利は上昇トレンドにあります。

④社債スプレッドが拡大していないか?

4番目にチェックするのは、社債スプレッドです。社債スプレッドとは、社債利回りから国債利回りを差し引いた数値のことです。

景気後退局面では、企業に対する銀行の融資姿勢が厳しくなるため、社債利回り(資金調達コスト)が高くなり、社債スプレッドは拡大することになります。

ここでは、社債スプレッド(BAA10Y)から10年国債利回りを差し引いた数値が1年前と比較して拡大していないかをチェックします。

拡大している場合は、景気後退局面を迎えつつある可能性が高まります。

最新のデータでは、前年比の社債スプレッドは+0.17であり、問題ありません

⑤米ドル指数が高くなっていないか?

5番目にチェックするのは、米ドル指数です。

米ドル指数の前年比変化率を計算し、米ドル高で推移している場合は、新興国経済にマイナスに作用する可能性があります。

最新のデータでは、前年比変化率が1以上で推移しているため、要警戒です。

まとめ:

現時点では、5つの指標のうち3つで警戒域に達しました

金利は「炭鉱のカナリア」と言われるほど経済の変調に敏感ですが、5羽のうち3羽のカナリアはさえずりをやめている状況です。

したがって、NNWC式ネットネット株は別としても、投資有価証券を多く含む銘柄や有利子負債の多い銘柄、シクリカル銘柄に投資することは避けたい局面ですし、レバレッジを活用したい局面でもありません。

また、おなじみのシラーPERは30前後で高止まりしています。これは、米国株が非常に割高であり、下落幅が大きくあることを示しています。

シラーPERが現在よりも高い水準であったのは、1870年以降で、2000年前後のドットコムバブルの時しかありません。

したがって、今後、厳しい相場展開に直面することは覚悟しなければなりません。

そこで、引き続きキャッシュを温存していきたいと考えています。

今回もお読みくださり、どうもありがとうございます。

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