インターネットでは、ネットネット株投資に対するネガティブな意見を見かけることがあります。
今回の記事では、そのような批判の幾つかと、それに対する個人的な意見をまとめてみました。
批判の中には的を射たものもあり、そのような弱点を補うことにより、パフォーマンスの改善やダウンサイドリスクの軽減に役立たせることができます。
目次
当然のことながら、月利10%や年利50%など高利益を期待することはできません。
しかし、市場平均よりも高いリターンを期待することはできます。
たとえば、下のグラフは、1985年から2007年にかけてのバックテスト結果ですが、日米欧のいずれの市場においても、ネットネット株への投資が市場平均を大きく上回っています。



どの程度の果実を市場から得ることを期待しているかにもよりますが、継続的に投資し、複利効果の恩恵を受ければ、十分満足できる利益を得られるため、この批判は的外れだと考えています。
確かに、競争優位性が確立されていれば、NCAVやNNWCなどの正味流動資産以下で株価が推移していることはあり得ません。
したがって、必然的に競争優位性を持たない企業に投資することになる、という意見はそのとおりです。
とはいえ、投資に成功するためには、競争優位性を持つ企業を選択することが絶対条件ではありません。というのも、真の競争優位を誇る企業は非常にまれな存在であるからです。
また、ネットネット株投資では、資産価値を保有の根拠とするのであり、競争優位性がもたらす収益や成長性を根拠とするのではありません。
したがって、「競争優位性を持たない企業に投資することになる」という意見は、リターンとは無関係であると考えます。
これもまた、もっともな意見です。株価低迷の責任を最も負うべきなのは経営陣であり、経営改善の見通しが立たない企業に投資することを控えたい、と考えるのは当然のことです。
とはいえ、経営者によって株主価値が破壊されている企業は、ネットネット企業に限りません。
また、ネットネット株に投資する場合には、株価低迷の原因が経営判断の稚拙さによるものか、外部環境の悪化によるものか見極め、投資判断を行うことによって、この問題のリターン低下をある程度防ぐことができます。
たしかに、国内のネットネット株企業においても不正会計が明らかになることがあります。しかし、そうしたケースが、他の銘柄に比べて特別に多いわけではありません。
一方、中国系のネットネット株企業で疑わしいケースが多く見られ、ネットネット株投資のリターンを大きく下げてしまうことがあります。
しかし、中国市場のネットネット株に投資する場合でも、安定した配当実績を持つ銘柄のみに投資するなどの対策を取ることで、不正会計の疑いのあるネットネット株への投資を極力避けることができます。
確かに、貸借対照表の資産の中には、流動資産内の棚卸資産や固定資産など、市場取引が活発ではなく、時価が得られなかったり、市場に流動性がなかったりするものがあります。
しかし、そのような非流動的な資産は、Net Cash式やNet Quick式、かぶ1000式では、0評価にしていますし、NCAV式やNNWC式でも、正味流動資産に含めないよう調整しています。
したがって、この批判はあたりません。
反対意見の②と③は、もっともな意見だと思います。
競争優位性は持っていませんし、経営の質も大いに改善の余地があります。
とはいえ、多くの場合、そこまで安く売り叩かれる企業ではなく、数ヶ月から数年のスパンでNCAVやNNWCという正味流動資産付近までは容易に値上がりし得る銘柄です。
したがって、このようなネガティブな意見があることは承知しているものの、ネットネット株への投資をメインの手法にする価値があると考えています。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。