NCAV式ネットネット株候補の1つに愛眼 (9854)という東証1部銘柄があります。
この愛眼は、最新の財務内容から、ネットネット株投資家として保有できる銘柄なのか、調べてみたいと思います。
以下の7つの要素を1つずつ確認してゆきます。
目次
愛眼は、関西圏を地盤に全国展開する、業界4位の眼鏡の卸・小売り専業大手企業です。
したがって、個人的に投資対象から外している不動産業・金融業銘柄には該当しません。
この記事では、愛眼の同業他社として、眼鏡小売り大手のビジョナリー(9263)と、 眼鏡専門店チェーン大手の三城(7455)と比較します。
当企業の流動資産の内訳を見ると、現預金が63%を占めており、安定的です。


負債の内訳を見ると、有利子負債はありません。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は60.9億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.64になり、現時点でネットネット株に該当しています。



NNWC式でも、ネットネット株指数が0.66を下回っています。
NetCash | 1.23 |
NetQuick | 1.03 |
NCAV | 0.64 |
NNWC | 0.63 |
かぶ1000式 | 0.92 |
2018年以前は、ネットネット株指数が1.0以上に達しており、ネットネット株指数の回帰性に期待できそうです。



愛眼のNCAVは、過去10年間、上昇していません。



売上高は減少傾向です。



愛眼は、同業のビジョナリーや三城と比較しても苦戦しています。



1998年以降の営業利益推移を見ると、営業損失を計上する年が多くなっています。



同業2社と比較すると、愛眼の営業利益率は最も低水準です。



過去10年間のBPSは、0.66倍に縮小しています。



ROEは低下傾向にあり、資本効率性は悪化しています。その要因を探るため、資金効率の内容をデュポン分解してみます。



当期純利益率を見ると、過去24年間で10回の最終損失を計上しています。



一方、総資産回転率は0.9回を切っています。



財務レバレッジは1.1~1.2倍に抑制されています。



まずは純利益率の改善が期待されます。
営業CFもフリーキャッシュフローも安定せず、たびたびマイナス圏に転落しています。



キャッシュフローが不安定であるため、積極的な株主価値向上策を期待する余地は乏しいようです。
実際のところ、現在は無配銘柄です。



株価は、過去3年間の最安値水準から11.8%高い水準に留まっており、ほぼ「底値圏」とみなすことができます。



買収防衛策は導入されていません。
海外投資家割合は1.3%に留まっていることにくわえ、直近株主総会決議の賛成割合は85%は確保しており、アクティビストの介入余地は乏しそうです。
同業他社と比較して、売上高・営業利益が大きく伸び悩んでおり、利益を生み出せていない企業です。
とはいえ、財務内容は盤石であり、いずれのネットネット株指数的にも、株価的にも割安になっているため、少量であればポートフォリオに組み入れてもよいかもしれません。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。