かぶ1000式ネットネット株の1つにテレビ朝日(9409)という東証1部銘柄があります。
このテレビ朝日は、最新の財務内容からすると、ネットネット株投資家として保有できる銘柄なのか、調べてみたいと思います。
以下の7つの要素を1つずつ確認してゆきます。
目次
テレビ朝日は、ご承知のとおり、民放キー局の一角をなすメディア企業です。朝日新聞社系で、個人視聴率は民放キー局2位に位置しています。
ということで、個人的に投資対象から外している不動産業・金融業銘柄には該当しません。
この記事では、テレビ朝日の同業他社として、フジサンケイグループのフジHD(4676)と読売グループの民放大手民放キー局の日本テレビ(9404)と比較します。
当企業の高換金性資産の内訳を見ると、有価証券が71%を占めています。


この有価証券には、リクルートの750万株などが含まれています。
負債の内訳を見ると、有利子負債はありません。



流動資産から総負債を除いた正味流動資産は2370億円です。



時価総額を正味流動資産で割ったかぶ1000式ネットネット株指数は0.66になり、現時点でネットネット株に該当しています。



NNWC式でも、ネットネット株指数が1.0を下回っています。
NetCash | – |
NetQuick | – |
NCAV | 2.66 |
NNWC | 0.76 |
かぶ1000式 | 0.66 |
2021年5月頃までは、ネットネット株指数が1.0以上に達していました。



テレビ朝日の正味流動資産は増加傾向にあります。したがって、株価に変化がなくても割安度が深まっており、株価の自律的反発に期待を寄せることができます。



売上高は増加傾向です。



同業のフジや日本テレビよりも売上高を順調に伸ばしています。



営業利益の推移を見ると、1998年以降、営業黒字を維持しています。



同業2社と比較すると、日本テレビに水をあけられています。



過去10年間のBPSは、1.56倍に成長しています。



ROEは4%程度と低めで推移しています。その要因を探るため、資金効率の内容をデュポン分解してみます。



1998年以降、2009年を除いて、最終黒字を維持しています。



一方、総資産回転率は0.4回を切っています。



財務レバレッジは1.25倍程度です。



ROEの向上のためには総資産回転率の改善が必要と言えそうです。
2000年以降、営業CFはすべての年でプラスを維持しています。
また、フリーキャッシュフローも多くの年で、プラス圏をキープしています。



キャッシュフローが比較的安定しているため、経営陣がその意思を持てば積極的な株主価値向上策を期待することができそうです。
1998年以降、無配年度はありません。



株価は、過去3年間の最安値水準に近接しており、「底値圏」とみなすことができます。



買収防衛策は導入されていません。
海外投資家割合は11.6%であり、直近株主総会決議の賛成割合は84%程度に留まっているものもあり、国内アクティビストの介入余地はありそうです。
高換金性資産に投資有価証券を多く含むため、保有株式の低迷により資産価値が毀損する可能性がありますが、かぶ1000式のネットネット株指数的には割安です。株価水準も2013年以降の最安値水準であり、ポートフォリオに加えておいても良い銘柄だと思います。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。