2月14日時点でのNNWC式ネットネット株候補にTBS(9401)があります。
TBSは、TBSテレビ・BS-TBS・TBSラジオを兼営する民放大手企業です。
事業内容は、
- テレビ放送(TBSテレビ、BS-TBS)
- ラジオ放送(TBSラジオ)
- メディア・コンテンツ(放送・番組制作、映像技術、美術制作、CG、音声・照明技術、カメラ取材、CATV投資、映像投資、調査・研究)
- 映像・文化(各種催物、映像・音声ソフト・ビデオソフト・アニメ等の企画・制作・販売、番組販売)
- ライフスタイル(小売「プラザスタイルカンパニー」、通信販売「ライトアップショッピングクラブ」、化粧品販売)
- 不動産(スタジオ管理、冷暖房管理、駐車場管理、機材リース、保険代理、不動産賃貸)
- 有料動画配信サービス「Paravi」
などです。
TBSは、2/9(木)に、2023年3月期第3四半期(4-12月)の決算を発表し、昨年同期比で売上高が2.5%の増収、営業利益が△12.9%の減益を計上しています。
このTBSは、ネットネット株投資家として保有継続できる銘柄なのでしょうか?
この記事では、以下の6つの視点から検討してみました。
目次
当企業の資産内訳(NNWCの計算式適用後)を見ると、東京エレクトロン株を中心とする4293億円相当の投資有価証券を保有しています。



負債の内訳を見ると、有利子負債は251億円程度であり、有利子負債倍率が0.03に抑えられています。また、長期借入金の借入利率は0.31%で全く問題のない水準です。



高換金性資産から総負債を除いたNNWC(正味流動資産)は3768億円です。



時価総額をNNWCで割ったネットネット株指数(P/NNWC)は0.69になり、NNWC式ネットネット株に該当していません。
過去6年間のNNWCの推移を見ると、2022年以降、減少しています。これは、東京エレクトロン株の下落の影響が大きそうです。



一方、ネットネット株指数は、過去6年間で割安な水準で推移しています。



2020年以前は、ネットネット株指数1.0以上で推移しているため、株価の回復によりネットネット株指数が回帰することを期待できます。
また、「赤坂サカス」などの不動産は2228億円の含み益を有しており、安全域の拡大に大きく寄与しています。
なお、かぶ1000式の計算法では、ネットネット株指数が0.60になり、割安な水準であることを示唆しています。
売上高は上昇トレンドで推移しています。



営業利益は黒字を維持しており、本業での儲けを出し続けています。



BPSは、過去10年間で2.51倍に成長しています。



ROEは、3%程度で推移しています。



1999年以降、2010年を除いて、最終黒字を維持しています。



2002年以降、大半の年で営業キャッシュフローはプラスを維持しています。
しかし、フリーキャッシュフローはマイナスの年が多く見られます。



1999年以降、無配に転落した年はありません。現在の配当利回りは2.6%です。
配当性向30%を目処とし、1株当たり30円を下限(ただし、2期連続で最終赤字を計上した場合は下限配当金が見直されることがある)としている点は評価できます。



東日本大震災発生時(2011/3)の月間下落率は△19.43%、コロナショック時(2020/2-3)の期間下落率は△24.67%で暴落耐性の弱い銘柄と言えそうです。
買収防衛策が導入されています。
また、放送法の外資規制があるため、海外アクティビストの介入は期待できない銘柄です。
なお、株主総会決議において、野村AM、MU投資顧問、三井住友トラストAMが取締役選任決議や剰余金処分議案に反対票を投じており、賛成割合が70%台前半に留まっているものがあります。
質の高い投資有価証券や保有不動産を保有しているネットネット株(かぶ1000式)です。
売上高・営業利益・BPS・NNWCともに上昇基調にあります。
ただし、保有資産の価値は、東京エレクトロンの株価動向に大きく左右される点には注意を要します。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。