先日、海外の方から、立川ブラインド工業 (7989)の銘柄分析をしてもらいたい、というご要望をいただきました。
そこで、この記事では、資産バリュー的な視点で立川ブラインド工業(7989)は「買い」と言えるか、調べてみました。
目次
立川ブラインドは、ブラインド・間仕切りの最大手メーカーで、減速機や機械式立体駐車場装置なども扱う東証1部上場企業です。
したがって、不動産業や金融業銘柄ではありません。
この記事では、比較対象銘柄として、間仕切りで国内首位級のコマニー(7945)、オフィスビル等の間仕切り総合メーカーである小松ウオール工業 (7949)を取り上げます。
立川ブラインドの時価総額(8月27日現在)は269億円で、ネットネット株界隈では規模がやや大きい銘柄です。
当企業の流動資産の内訳を見ると、現預金が47%を占めており、安定的な内容です。



負債の内訳を見ると、有利子負債はありません。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は268億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は1.00になり、現時点(8/27時点)でネットネット株に該当していません。



2016年以降、ネットネット株状態に陥ったことはありません。



NCAVは美しい上昇トレンドにあります。



売上高は、400億円程度で伸び悩んでいます。



類似企業の売上高と比較しても、立川ブラインドは他社に大きく離されています。



一方、営業利益は2009年以降、上昇傾向にあります。



類似企業の営業利益率と比較すると、立川ブラインドだけが5%超で推移しており、ある程度の「経済的な堀」を有していることを示しています。



ROEは上昇傾向にあり、直近数年間は7%前後で推移しています。資本効率の課題をデュポン分解して探ってみます。



純利益率は、上昇傾向にあり、7%を超えています。



総資産回転率は下降傾向にあり、0.7回程度です。



財務レバレッジは1.5倍以下に抑制されています。



このように立川ブラインドは純利益率が高めであるため、ROEもまずまずの水準を維持しています。
自己資本は上昇傾向にあります。



営業キャッシュフローはプラスを維持しており、フリーキャッシュフローも大半の年度でプラス圏で推移しています。



キャッシュフローが安定しているため、着実な配当実績を残しています。



現在の株価(8/27終値1,294円)は、過去3年間の安値水準よりも46.5%高めで推移しており、底値圏にあるとは言えません。



買収防衛策は導入されていません。
ただし、株主優待としてクオカードを配布しているのは、個人株主を増やして、アクティビストファンドの介入を防ぐという隠れた意図があるのかもしれません。
ワクチン接種会場の間仕切り需要なども期待されるコロナ関連銘柄としても知られています。
ネットネット株指数が1.0以上であるため、個人的には購入対象銘柄にはなりませんが、売上利益・自己資本・正味流動資産(NCAV)が着実に積み上がっている優良銘柄です。ROEもキャッシュフローも健全です。今後の値上がりを期待できる銘柄のように感じました。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。