かつてネットネット株だった東証2部銘柄にフクビ化学工業 (7871)があります。
このフクビ化学工業は、ネットネット株投資家として、保有を継続できる銘柄なのでしょうか?
以下の7つの観点から、考慮してみました。
目次
フクビ化学工業は、合成樹脂製品の製造加工大手企業です。
したがって、不動産業や金融業銘柄ではありません。
この記事では、比較対象銘柄として、住宅資材の総合大手の大建工業 (7905)、メラミン化粧板で国内トップのアイカ工業 (4206)を取り上げます。
当企業の流動資産の内訳を見ると、売上債権が43%を占めていますが、海外との取引は多くないため、大きな懸念点ではありません。



負債の内訳を見ると、有利子負債は4%程度に留まっています。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は168億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.82になり、現時点でNCAV式ネットネット株に該当していません。



NCAV式に加えて、NNWCやかぶ1000式でもネットネット株指数が1.0未満です。
NetCash | – |
NetQuick | 1.32 |
NCAV | 0.81 |
NNWC | 0.87 |
かぶ1000 | 0.96 |
2018年頃はネットネット株指数が1.0以上に達しており、指数の回帰性に期待することができそうです。



一方、NCAVは拡大傾向にあります。



売上高は、2010年頃から横ばい状態です。



類似企業の売上高を比較すると、アイカ工業に大きく引き離されています。



営業利益もまた、伸び悩んでいますが、1998年以降、営業赤字を計上した年度がない点は評価できます。



類似企業の営業利益率と比較すると、最も低水準に陥っています。



BPSは過去10年間で1.37倍に拡大しています。



ROEは、好況期でも5%を超えることはありません。資本効率の内容をデュポン分解して探ってみます。



純利益率は上昇傾向にある点は評価できます。



総資産回転率は0.8回を割り込んでいます。



財務レバレッジは1.5倍程度に抑制されています。



2000年以降、営業キャッシュフローは安定してプラスで推移しています。また、フリーキャッシュフローも大半の年でプラス圏を維持しています。



キャッシュフローが比較的安定しているため、経営方針次第で、配当や自社株買いなどの安定した株主還元策を期待することができそうです。
配当実績を見ると、安定して配当が支払われています。



現在の株価は、過去3年間安値からは87%程高い水準で推移しています。



買収防衛策は導入されていません。
海外投資家割合は2.6%に留まっており、直近株主総会決議の賛成割合は98%を超えていることから、アクティビストの介入余地の乏しい銘柄と言えます。
ネットネット株指数的にも株価的にも割安感は乏しくなってきましたが、ROEやキャッシュフローは比較的好ましい数値が維持されています。
公正価値とも言える810円前後まではホールドする予定です。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。