NCAV式ネットネット株候補の1つにセコニック(7758)という東証2部銘柄があります。
このセコニックは、ネットネット株投資家として、購入対象となる銘柄なのでしょうか?
この記事では、次の8つの視点をチェックしてゆきます。
目次
光学関連装置が主力の機械メーカーです。
したがって、不動産業や金融業銘柄ではありません。
この記事では、比較対象銘柄として、複合機中堅メーカーであるコニカミノルタ(4902)とキヤノンの製造子会社でプリンターの受託生産やカメラシャッター等を製造するキヤノン電子 (7739)を取り上げます。
9月22日時点(終値:1,021円)の時価総額は19.2億円で、理想的な超小型株です。
当企業の流動資産の内訳を見ると、売上債権が36%を占めています。海外売上高の割合が29.7%を占めていることには留意が必要です。



負債の内訳を見ると、リース債務を含む有利子負債は9%に留まっています。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は29億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.66になり、現時点でぎりぎりNCAV式ネットネット株に該当します。



なお、他の類型のネットネット株指数は以下のとおりです。
指数 | |
Net Cash | 479.750 |
Net Quick | 1.185 |
NNWC | 0.810 |
かぶ1000式 | 2.411 |
NCAV | 0.662 |
棚卸資産の割合が比較的多いため、NCAV式やNNWC式以外の計算式では、割安感はあまり感じられません。
2018年以前は、ネットネット株指数が1.0を上回っており、指数の回帰性に期待を寄せることができそうです。



NCAVは上昇傾向にあります。



売上高は減少傾向にあります。



類似企業の売上高推移を比較すると、コニカミノルタとキヤノン電子に大きく劣後しています。



営業利益は赤字の年も多く、「経済的な堀」が埋まりつつあります。



類似企業の営業利益率と比較すると、大半の年度でコニカミノルタとキヤノン電子に劣後しています。



ROEは、2007年を最後に、7%を超過したことはありません。資本効率の課題をデュポン分解して探ってみます。



過去24年間で、8回の最終損失を計上しています。



総資産回転率は0.9回程度で推移しています。



財務レバレッジは1.3倍程度に抑制されています。



ROEの改善には、まずは純利益率の改善が不可欠です。
自己資本は横ばいで推移しており、過去10年間で1.2%縮小しています。



営業キャッシュフローもフリーキャッシュフローも、マイナス圏に転落することが多く、安定しません。



キャッシュフローが不安定であるため、配当などの株主還元策の拡充を図ることは難しそうです。
実際のところ、2010年から16年にかけて、無配に転落していました。



現在の株価は、過去3年間の最安値から39.9%程度上昇した水準で推移しているため、「底値圏」とは言えません。



買収防衛策は導入されていません。
ネットネット株指数的には割安な銘柄ですが、海外売上高比率が比較的多く、棚卸資産が多めであることには注意が必要です。
また、売上高は低迷しており、ROE的にもキャッシュフロー的にも魅力は乏しい銘柄です。
このような買いを入れたい積極的な理由を見出しにくい銘柄が暴騰することが多々あるのですが、個人的には保有を見合わせる銘柄です。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。