NCAV式ネットネット株に萩原電気ホールディングス(7467)という東証1部銘柄があります。
この萩原電気は、2月10日に2022年3月期3Q決算を発表し、前年同期比で売上高は27.5%の増収、営業利益は16.7%の増益になりました。
この萩原電気は、ネットネット株投資家として、ホールドできる銘柄でしょうか?
この記事では、次の7つの視点をチェックしてゆきます。
目次
自動車向け中心の電子部品、機器商社です。IoT/M2Mビジネス、自動走行システムへの取り組みを強化している企業でもあります。
したがって、個人的に投資を控えている不動産業や金融業銘柄ではありません。
この記事では、比較対象銘柄として、ルネサス製品を主に扱う半導体商社の新光商事(8141)と、兼松系の電子機器商社である兼松エレクトロニクス(8096)を取り上げます。
当企業の流動資産の内訳を見ると、売上債権が57%を占めていますが、海外売上高比率は14.1%に過ぎないため、大きな懸念点ではありません。



負債の内訳を見ると、有利子負債は39%です。



有利子負債は主に借入金であり、社債はありません。有利子負債自己資本比率は36.98%で、やや高めではありますが、問題のない水準です。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は327.6億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.57になり、NCAV式ネットネット株に該当します。



続いて、所有する土地は以下のとおりですが、高換金性の有する土地はないように見受けられます。



また、投資有価証券として21の上場企業株式を8.7億円分保有しています。
こうした資産内容を加味した、他の類型のネットネット株指数は以下のとおりです。
指数 | |
Net Cash | – |
Net Quick | 4.77 |
NNWC | 1.41 |
かぶ1000式 | 3.90 |
NCAV | 0.57 |
指数が1.0を下回っているのはNCAV式のみですが、これは流動資産に占める棚卸資産の割合が多いためです。
2019年以前は、NCAV式ネットネット株指数が1.0を上回っていますので、指数の回帰性に期待を寄せることができそうです。



NCAVは順調に拡大しています。



したがって、バリュートラップの可能性は乏しいように思われます。
売上高は増収傾向にあります。



類似企業の売上高推移を比較すると、萩原電気が大きく伸ばしています。



営業利益も増加傾向にあります。



ただし、類似企業の営業利益率と比較すると、兼松エレクトロニクスに大きく劣後しています。



1株純資産(BPS)は拡大しており、過去10年間で1.59倍に成長しています。



ROEは、好況期に7%を超過して推移しています。



過去24年間で、2005年のみ最終損失を計上しています。



営業キャッシュフローは多くの年でプラス圏をキープしています。
しかし、フリーキャッシュフローはマイナス圏に転落する年が見られます。



キャッシュフローがやや不安定であるため、株主還元策の拡充を期待することは難しそうです。
過去24年間、無配の年はありません。現時点での配当利回りは3.95%です。



配当政策について、「連結配当性向30%を目途とし連結純資産配当率も勘案したうえで、安定配当をベースに業績に応じた利益配当を行って」いくとしているため、今後も安定した配当支払いを見込むことができます。
買収防衛策は導入されていません。
海外投資家の保有割合は12.4%であり、直近の株主総会での賛成割合は77%程度に留まっているものもあり、アクティビストの介入余地がありそうです。
NCAV式ネットネット株指数的に割安な銘柄です。流動資産の46%が売上債権であり、有利子負債もやや多めではありますが、売上高・営業利益・BPS・正味流動資産(NCAV)が順調に伸びている銘柄です。
キャッシュフローはやや不安定ではありますが、ROEは良好です。
上記の点からすると、収益性を見込める資産バリュー株として引き続き保有しておきたい銘柄です。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。