ヤギ (7460)の銘柄紹介 ― 割安になりつつある繊維専門商社

ネットネット株候補の1つにヤギ(7460)という東証2部銘柄があります。

このヤギは、ネットネット株投資家として、購入し得る銘柄なのでしょうか?

以下の8つの観点から、考慮してみました。

①不動産業・金融業銘柄に該当しないか?

ヤギは、糸やテキスタイル(アパレル関連の繊維)から二次製品までを扱う、繊維専門商社の老舗企業です。

したがって、不動産業や金融業銘柄ではありません

この記事では、比較対象銘柄として、繊維主力の専門商社であるGSIクレオス(8101)、名古屋地盤の繊維商社老舗であるタキヒヨー(9982)を取り上げます。

②時価総額が100億円以下か?

9月3日(終値:1,470円)の時価総額は135億円です。

③ネットネット株指数[時価総額/正味流動資産(NCAV)]が0.66以下か?

当企業の流動資産の内訳を見ると、売上債券が57%を占めており、流動資産の質にやや注意が必要です。

負債の内訳を見ると、有利子負債は40%です。

流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は180億円です。

時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.75になり、現時点ではネットネット株に該当していません。

④好況期にネットネット株指数は1.0を回復しているか?NCAVは縮小していないか?

2018年以前は、ネットネット株指数が1.0以上で推移しており、指数の回帰性に期待を寄せることができそうです。

NCAVは拡大傾向にあります。

⑤過去20年間の売上高・営業利益は同業他社と比較して縮小していないか?

売上高は、1100億円前後で横ばいで推移しています。

類似企業と比較すると、GSIクレオスとタキヒヨーは縮小していますが、ヤギの売上高は持ちこたえています。

営業利益は1998年以降、営業黒字を維持しています。

類似企業の営業利益率と比較すると、ある程度の経済的な「堀」を維持していることが読み取れます。

⑥好況期のROEが7%以上あり、直近10年間で自己資本が1.5倍以上成長しているか?

2012年以降、ROEは7%を超える水準に達していません。資本効率の問題点をデュポン分解して探ってみます。

純利益率は1%程度の水準で推移しています。しかし、1999年以降、最終損失を計上していない点は評価できます。

総資産回転率は1.8回程度です。

財務レバレッジは1.8倍程度です。

資本効率性の向上のためには、純利益率のさらなる上昇が必要です。

自己資本は順調に伸びています

⑦営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローがプラスを維持しているか?

営業キャッシュフローがマイナスに転落する年や、フリーキャッシュフローがマイナスに転落する年が多くあります。

このようにキャッシュフローが不安定であるため、配当や自社株買いなどの安定した株主還元策を期待しにくい状況です。

しかし、1998年以降、安定した配当支払実績を持っています。

⑧株価は過去3年間の底値圏にあるか?

現在は、過去3年間安値からは9.9%程高い株価に留まっており、底値圏と言える水準です。

その他の特記事項

買収防衛策は導入されていません

まとめ:

バリュートラップに陥っている可能性は低く、一定の収益性を持つ銘柄です。

ROEは低く、キャッシュフローは安定しないため、大規模な株主還元策を期待することは難しそうですが、ネットネット株水準で購入できれば、損失の可能性はほとんどない割安株だと感じました。

上記の点からすると、ネットネット株水準ではポートフォリオに組み入れたい銘柄です。

今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください