12月9日時点のNNWC式ネットネット株の1つにハイレックス (7279)という東証スタンダード銘柄があります。
ハイレックスは、コントロールケーブルで世界首位を走る独立系メーカーで、
- 自動車用(コントロールケーブル、ウインドゥレギュレーター、ドア開閉システム)
- 船舶用コントロールケーブル
- 建設・産業機器用アクセルアクチュエータ
- 医療機器(マイクロカテーテル、ガイドワイヤ、補助人工心臓)
などの製品を取り扱っています。
最近では、
- 自動車バイワイヤ化対応の新製品の開発
- ロボット向け細径・高強度のワイヤー・ワイヤーガイド
- ドア・窓の電動開閉システム
- 医療機器開発(人工血管、体内植込み型補助人工心臓システム)
といった分野に注力しており、EV化の恩恵を受けやすい業種です。
主要取引先は、
- 本田技研工業
- Stellantis N.V.
- 起亜
- 現代自動車
- FIAT CHRYSLER AUTOMOBILES US LLC
などで、海外売上高比率は78.8%に達しています。
ハイレックスは12月9日、2022年10月期(21年11月-22年10月)の決算を発表しました。昨年同期比で、売上高は17.4%の増収だった一方、48.6億円の赤字転落になりました。
減益要因は、
- 半導体供給不足による各国自動車メーカーの減産
- 顧客への販売が予想水準を下回って推移していること
- 資源・素材の高騰で材料コストの上昇
- 世界的な輸送コストの高止まり
- 米国を中心として雇用逼迫の影響から人件費が上昇したこと
などが挙げられます。
このハイレックスは、ネットネット株投資家として、引き続きホールドできる銘柄なのでしょうか?
この記事では、次の6つの視点をチェックしてゆきます。
目次
当企業の資産内訳(NNWCの計算式適用後)を見ると、405億円の現金預金、385億円相当の売上債権、370億円相当の投資有価証券を保有しており、バランスの良い資産内容です。投資有価証券は朝日インテックなど15銘柄程度が含まれています。


負債の内訳を見ると、有利子負債は118億円に拡大しています(6ヶ月前は76億円)。とはいえ、有利子負債倍率は0.07倍程度であり、全く問題のない水準です。



総負債を除いたNNWC(正味流動資産)は766億円です。



時価総額をNNWCで割ったネットネット株指数(P/NNWC)は0.54になり、現時点でネットネット株に該当しています。
過去6年間のNNWCの推移を見ると、横ばいで推移しています。



また、ネットネット株指数は、過去6年間で最も割安な水準に達しています。
2019年以前はネットネット株指数が1.0を上回っており、バリュートラップに陥っている可能性は低いように思われます。



1999年以降、売上高は増加傾向にあります。



2014年をピークに、営業利益は急減しています。



過去10年間でBPSは2.08倍ほど拡大しました。



ROEは、好況期には7%に達しており、比較的効率性の良い企業です。



営業キャッシュフローはすべての年でプラスを維持しています。直近のフリーキャッシュフローはマイナス圏に転落しています。



業績改善の見通しが立つ際には、増配などの安定した株主還元策を期待したいところです。
1998年以降、無配に転落したことはありません。配当利回りは3.19%です。



南海トラフ巨大地震の津波浸水想定エリアに本社や工場は立地していません。
東日本大震災が発生した2011年3月の月間騰落率は△37.4%、コロナショックが発生した2020年2月から3月の期間騰落率は△37.4%で、暴落耐性に乏しい銘柄と言えそうです。
買収防衛策は導入されていません。
BBHフィデリティ・ロープライスドストックファンドが3.64%の株式を保有しています。
現金預金・売上債権・投資有価証券を多く保有する財務基盤の安定したNNWC式ネットネット株です。
ネットネット株指数的には過去6年で最も割安な水準に達しています。
自動車関連株であるため景気動向に左右されやすく、今期は苦戦を強いられていますが、売上高・営業利益・BPS・キャシュフローは安定的であり、安心して保有できる銘柄です。
株価が2,000円を超えるまで保有しておきたい銘柄です。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。