ネットネット株状態に陥っている銘柄に今仙電機製作所(7266)という東証1部銘柄があります。
この今仙電機は、ネットネット株投資家として、購入し得る銘柄なのでしょうか?
以下の7つの観点から、考慮してみました。
目次
今仙電機は、ホンダ向けのシートの機構部品や電装品が主力とする、独立系自動車部品メーカーです。
したがって、不動産業や金融業銘柄ではありません。
この記事では、比較対象銘柄として、自動車のシートを主力とするニッパツ(5991)、独立系自動車シート大手のタチエス(7239)を取り上げます。
当企業の流動資産の内訳を見ると、現金預金が37%を占めています。
負債の内訳を見ると、有利子負債が25%に留まっています。
流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は227億円です。
時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.61になり、現時点でネットネット株に該当しています。
他のネットネット株算出法での指標を確認すると、NNWC式でも1.0未満になっています。
NC | – |
NQ | 1.78 |
NCAV | 0.61 |
NNWC | 0.73 |
かぶ1000 | 1.06 |
2019年以前はネットネット株指数が1.0を上回っており、指数の回帰性にある程度の期待を寄せることができそうです。
また、NCAVは拡大傾向にあります。
売上高は2020年以降、伸び悩んでいます。
類似企業の売上高を比較すると、ニッパツやタチエスに劣後しています。
営業利益は、1998年以降初めて、2021年に営業赤字を計上しています。
類似企業の営業利益率と比較すると、ニッパツに水を空けられています。
BPSは上昇傾向にあり、過去10年間に22%拡大しました。
ROEは、好況期には7%を超える水準に達していますが、低下傾向にあります。資本効率の問題点をデュポン分解して探ってみます。
過去24年間で、最終赤字を計上した年は2回のみです。
総資産回転率は1.1回程度で推移しています。
財務レバレッジは1.7倍程度に抑制されています。
当期純利益率の改善が急務です。
営業キャッシュフローもフリーキャッシュフローも、プラス圏で推移しています。
キャッシュフローが安定的であるため、経営陣の方針次第では、配当や自社株買いなどの安定した株主還元策を期待できそうです。
配当実績を見ると、無配に転落した年はありません。
現在の株価は、過去3年間安値からは8.4%程高い水準で推移しているに過ぎず、ほぼ底値圏と言えます。
買収防衛策は導入されていません。
海外投資家の割合は2.9%に留まっており、直近の株主総会決議の賛成割合は94%を超えているため、アクティビストの介入余地が乏しいように見受けられます。
ホンダ系の4輪シート部品メーカーのテイ・エス テック(7313)が34%の株式を保有する筆頭株主であるため、今後の動向に注目しています。
ネットネット株指数的にも、株価水準的にも割安な銘柄です。業績の不振が続いていますが、キャッシュフロー的には安定しているため、業績の見通しが立てば、増配などの株主価値向上策を図る可能性があります。
個人的には、現在の水準であれば、ポートフォリオに組み入れておきたい銘柄です。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。