ネットネット株ではありませんが、割安になりつつある銘柄に日産車体(7222)という東証1部銘柄があります。
この日産車体は、ネットネット株投資家として、購入し得る銘柄なのでしょうか?
結論を申し上げると、「ポートフォリオに組み入れておきたい銘柄」です。
なぜ、そのような結論に至るか、1つずつ確認してゆきます。
目次
日産車体は、日産系の車両組み立て会社です。イメージとしては、日産の工場が上場しているようなものです。
したがって、不動産業や金融業銘柄ではありません。
この記事では、比較対象銘柄として、ホンダ子会社の八千代工業 (7298)とトヨタの車両組立会社の豊田自動織機 (6201)を取り上げます。
8月20日(終値:691円)の時価総額は1091億円で、ネットネット株界隈では大きめの企業です。
当企業の流動資産の内訳を見ると、現預金(グループ会社への預け金を含む)が70%を占めており、安定的な資産内容です。



負債の内訳を見ると、有利子負債はありません。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は1246億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.85になり、ネットネット株に該当していません。



2021年2月以前には、ネットネット株指数が1.0を上回っており、指数の回帰性にある程度期待することができそうです。



NCAVは上昇傾向にあります。



売上高は、緩やかな下降トレンドで推移しています。2022年3月期の減収予測は、会計処理の変更によるものです。



類似企業と比較すると、トヨタ系企業の圧倒的な強さを感じさせます。



営業利益は黒字を維持しているものの、緩やかな下降トレンドをたどっており、本業での儲けが薄くなっていることを示しています。



類似企業の営業利益率と比較すると、日産車体が最も低水準です。



ROEは、好況期には7%を超える水準に達しています。資本効率の課題をデュポン分解して探ってみます。



直近数年間の純利益率は0-1%程度の低水準で推移しています。



総資産回転率は1.5回程度です。



財務レバレッジは1.5倍程度です。



純利益率を改善しないことには資本効率性は向上しません。
自己資本は上昇傾向にあります。



2000年以降、営業キャッシュフローはプラスを維持しています。
また、2007年以降、フリーキャッシュフローもプラスを維持しています。



このようにキャッシュフローが安定しているため、配当や自社株買いなどの安定した株主還元策を期待できます。
実際に、2001年以降、安定した配当実績を持っています。また、最近では2018年に自社株買いの実績を有しています。



現在の株価は、過去3年間のほぼ底値水準です。



買収防衛策は導入されていません。
日産自動車が43.07%の株式を保有する親子上場解消期待銘柄です。
旧村上ファンド関係者が運営する投資会社エフィッシモ キャピタルが25.57%を保有しています。エフィッシモの平均購入単価は788.9円です。
エフィッシモは今後も、日産自動車や日産車体に対して、親子上場解消や自社株買い、増配といった株主価値を高める圧力を加えていくことが予想されます。
ネットネット株指数的にはネットネット株には該当していません。
しかし、キャッシュリッチな財務内容であり、株価は過去3年間の底値水準です。
キャッシュフローは安定しているため増配や自社株買いといったカタリストを期待することもできます。また、今後のエフィッシモの動きにも注目です。
上記の点からすると、ネットネット株ではありませんが、ポートフォリオに組み入れておきたい銘柄です。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。