【更新】ニッチツ(7021)の銘柄紹介 ― 割安な機械・資源関連会社は買い?

8月23日現在、NCAV式・NNWC式・かぶ1000式ネットネット株候補の1つにニッチツ(7021)という東証スタンダード銘柄があります。

ニッチツは機械・資源関連会社で、

  • 船舶用機器(ハッチカバー、バラ積船用の船殻ブロック、船首部分・エンジンルームのブロック)の製造
  • 陸上大型産業機器・機械装置(電力・製鉄等を中心としたプラント用機械・構造物、空気予熱機等)の製造
  • 珪砂の仕入・販売
  • 半導体材料ハイシリカや耐熱塗料(サーモジン)、高純度天然ゴム「ライナテックス」の製造

を事業とする企業です。このうち、舶用ハッチカバーは高シェアを誇っています。

一方、結晶質石灰石事業は、2022年に終了しています。

ニッチツは、8月10日に2024年3月期第1四半期(4-6月)の決算を発表しました。昨年同期比で、売上高は+2.0%の増収、営業利益は+90.5%の黒字になりました。

このニッチツは、最新の財務内容からして、ネットネット株投資家として保有できる銘柄なのか、調べてみたいと思います。

以下の6つの要素を1つずつ確認してゆきます。

①NNWC式ネットネット株指数

当企業の資産内訳(NNWCの計算式適用後)を見ると、44億円の現金預金を保有しており、安定的です。3か月前と比較して、4億円減少しました。

また、投資有価証券には、めぶきフィナンシャルグループなど14銘柄12億円相当の株式、その他固定資産内には東京都港区の28億円と評価されている賃貸不動産が含まれています。

この賃貸不動産は、港区にある「御成門センタービル」で、築21年・8階建てのオフィスビルです。

日本産業カウンセラー協会やオーストリア航空などが使用しており、2023年8月現在で空き室はないようです。

港区のハザードマップでも想定被害はなく、優良な賃貸不動産です。

負債の内訳を見ると、有利子負債は12億円に留まっています。長期借入金の平均利率は0.9%です。有利子負債倍率は0.12倍で問題ない水準です。

総負債を除いたNNWC(正味流動資産)は39億円です。3か月前と比較し、3億円ほど減少しています。

時価総額をNNWCで割ったネットネット株指数(P/NNWC)は0.82になり、現時点でNNWC式ネットネット株に該当していません

過去6年間のNNWCの推移を見ると、減少傾向にあります。直近の減少は、機械関連事業のクレーン更新によるものと考えられます。

また、ネットネット株指数の推移を見ると、過去6年間での割安な水準は脱しています。

②売上高・営業利益・BPS

売上高は減少傾向です。

営業利益の推移を見ると、1999年以降、営業黒字を維持していましたが、2022年に舶用機器の営業不振などにより営業赤字を計上しました。

過去10年間のBPSは、△1.8%減少しています

③ROE

ROEは、2016年以降、2%を切って低迷しています

当期純利益率を見ると、過去24年間で3回、最終損失を計上しています。

④キャッシュフロー

営業CFはすべての年でプラスフリーキャッシュフローも多くの年でプラス圏をキープしています。

直近の2022年は悪化しているものの、キャッシュフローが比較的安定しているため、業績が安定すれば、積極的な株主価値向上策を期待できそうですが、果たしてどうでしょうか。

⑤配当

1998年以降、無配年度はありません。配当利回りは1.89%です。

⑥リスク

長崎県沿岸部2箇所に工場を有していますが、津波の浸水想定外に位置しており、震災リスクに対して脆弱な企業ではありません。

また、2022年9月に発生した台風14号による被害が松浦工場(長崎県松浦市)と江迎工場(長崎県佐世保市)で発生し、災害による損失106,670千円を特別損失を計上したことがあります。

なお、東日本大震災が発生した2011年3月の月間騰落率は△6.55%、コロナショックが発生した2020年2-3月の2ヶ月間の騰落率は△19.67%でした。

その他

2021年10月に、買収防衛策(ポイズンビル)を導入しました。

海外投資家割合は5.0%に留まっていることにくわえ、今のところ、アクティビストの介入余地は乏しそうです。

とはいえ、資源関連事業縮小により、従業員数が前年度285人から242人に減少し、人件費の減少が見込めます。また、経営指標として、新たにROEやROICを導入し、経営効率化を図る動きが見えている点はポジティブです。

まとめ

現金割合の高いネットネット株候補の銘柄です。賃貸不動産や有価証券など、質の高い資産を保有している点も魅力的です。

また、不採算事業を清算している点も好印象です。売上高や営業利益が伸び悩んでおり、収益性の低い銘柄ですが、NNWC式ネットネット株水準で数年スパンで保有すれば失敗の少ない銘柄だと考えています。

現在の水準では手が出しにくいですが、1,850円付近に達するまで保有は継続してゆく予定です。

今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。

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