2月7日現在のNNWC式ネットネット株候補の1つにNKKスイッチズ(6943)という東証スタンダード銘柄があります。
NKKスイッチズは、トグルスイッチに定評のある産業用小型スイッチメーカーの日本最大手企業です。
旧社名は「日本開閉器工業」で、2014年にNKKスイッチズに社名変更しました。
日本、中国、フィリピンの3拠点生産体制を敷いており、海外売上高比率は51.7%です。
このNKKスイッチズは、2月6日(月)に23年3月期第3四半期決算を発表しました。昨年同期比で、売上高は17.6%の増収、営業利益は+11.5%の増益を計上しています。
このNKKスイッチズは、ネットネット株投資家として、引き続き保有対象となる銘柄なのでしょうか?
この記事では、次の6つの視点でチェックしてゆきます。
目次
NNWCの計算式を適用後の資産内訳を見ると、現金預金が56億円に達しています。6か月前と比べて、変化していません。
一方、借入金や社債などの有利子負債はありません。
NNWC式の正味流動資産は67億円に達します。6か月前と比較して11億円拡大し、引き続き高水準です。



また、上記以外の資産では、1.65億円の含み益のある賃貸等不動産を保有しています。
時価総額をNNWCで割ったネットネット株指数(P/NNWC)は0.73になり、NNWC式ネットネット株に該当していません。しかし、NCAV式ネットネット株指数は0.58になり、非常に割安です。



過去6年にわたり、NNWCは拡大していません。



過去6年間のNNWC式ネットネット株指数の推移を確認すると、指数1.0を回復している時期はなく、バリュートラップに陥っている可能性を感じさせます。



売上高は、円安効果もあり、過去最高の水準に達しようとしています。



営業利益は、赤字に転落する年もあり、低迷しています。



BPSは過去10年間で1.16倍の拡大に留まっています。



ROEは、好況期には7%を超過することがあります。



営業キャッシュフローもフリーキャッシュフローも、しばしばマイナス圏に転落しています。



キャッシュフローが不安定であるため、増配や自社株買いなどの株主価値向上策を期待しにくい銘柄です。
1999年以降、増配と減配を繰り返しつつも、無配に転落した年はありません。配当利回りは2.52%です。



売上債権回転率は5.29回で売上債権に問題はありませんが、棚卸資産回転率は2.92回に留まっており、商品が滞留している可能性を感じさせます。
工場は3箇所に分散されているものの、川崎市高津区の本社・工場は多摩川氾濫時に浸水するエリアに立地している点には注意が必要です。
東日本大震災時2011年3月の月間下落率は△17.54%、コロナショック時の2020年2-3月期の下落率は△36.19%であり、暴落耐性のある銘柄ではありません。
買収防衛策は導入されていません。
海外投資家による株主保有は2.8%程度であり、株主総会の賛成割合が99%を超えていることから、アクティビストによる介入も想定できません。
会計監査人の異動を2022年5月10日に発表しました。監査報酬の減額を目的としたものかもしれませんが、一応留意しておきたいところです。なお、前期の実質法人税率は13.3%に留まっています。
現金預金が資産の多くを占める堅固な割安株です。
営業利益は低迷し、NNWC・BPSも横ばいであり、ROEやキャッシュフローの側面からも魅力の乏しい銘柄です。
この株価水準(6,000円前後)で購入する銘柄ではありませんが、有利子負債がほとんどなく、財務が盤石であるため、長期的には下値余地が乏しいと考えられ、引き続き保有しておきたい資産バリュー株です。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。