ネットネット株圏に近づきつつある銘柄にアイ・オー・データ機器 (6916)という東証1部銘柄があります。
このアイオーデータは、ネットネット株投資家として、購入し得る銘柄なのでしょうか?
以下の7つの観点から、考慮してみました。
目次
アイオーデータは、記録媒体や液晶モニターなどPC周辺機器大手メーカーです。Web会議機材などリモート需要を取り込むテレワーク関連銘柄でもあります。
したがって、不動産業や金融業銘柄ではありません。
この記事では、比較対象銘柄として、ディスプレー専業メーカーのEIZO(6737)、Wi-Fi関連などPC周辺機器のバッファローを傘下とするメルコ(6676)を取り上げます。
当企業の流動資産の内訳を見ると、棚卸資産が49%を占めており、注意が必要です。



負債の内訳を見ると、有利子負債が28%に拡大しています。短期決済用資金としての短期借入金が増えているようです。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は184億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.67になり、現時点ではぎりぎりネットネット株に該当していません。



2019年以前はネットネット株指数が1.0を上回っており、指数の回帰性にある程度の期待を寄せることができそうです。



また、NCAVは拡大傾向にあります。



売上高は伸び悩んでいます。



類似企業の売上高を比較すると、メルコやEIZOに劣後しています。



営業利益は、2010年以降、営業黒字を維持しています。



類似企業の営業利益率と比較すると、EIZOとメルコに水を空けられています。



BPSは上昇傾向にあり、過去10年間に77%拡大しました。



ROEは、好況期には7%を超える水準に達しています。資本効率の問題点をデュポン分解して探ってみます。



純利益率は3%前後で推移しています。



総資産回転率は1.4回程度で推移しています。



財務レバレッジは1.5倍程度に抑制されています。



純利益率の向上により、資本効率性が改善傾向にあります。
営業キャッシュフローはマイナスに転落する年も見られる上、フリーキャッシュフローがマイナスに転落する年も多くなっています。



キャッシュフローがやや不安定であるため、配当や自社株買いなどの安定した株主還元策を期待することは難しそうです。
配当実績を見ると、2013年に無配に転落しています。



現在の株価は、過去3年間安値からは27.5%程高い水準で推移しているため、底値圏とは言えません。



買収防衛策は導入されていません。
海外投資家の割合は7.5%に留まっており、直近の株主総会決議の賛成割合は93%を超えているため、アクティビストの介入余地が乏しいように見受けられます。
流動資産に占める棚卸資産の割合が高く、他銘柄と比較して営業利益率は低めであり、経済的な堀が浅いように思われることや、キャッシュフローが不安定であることには注意が必要です。しかし、ROEはまずまずの水準であり、自己資本やNCAVを伸ばしている点は魅力的です。
個人的には、コロナショック時の安値水準に近づくことがあれば、ポートフォリオに組み入れたい銘柄です。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。