最近、ネットネット株化した銘柄にホシデン(6804)という東証1部銘柄があります。
このホシデンは、ネットネット株投資家として、購入し得る銘柄なのでしょうか?
結論を申し上げると、「積極的にポートフォリオに組み入れなくてもよい銘柄」です。
なぜ、そのような結論に至るか、1つずつ確認してゆきます。
目次
ホシデンは、コネクターやスイッチを主力とする情報通信部品大手メーカーです。
したがって、不動産業や金融業銘柄ではありません。
この記事では、比較対象銘柄として、NEC系コネクター大手の日本航空電子工業(6807)とコネクターなどの接続部品大手のSMK(6798)を取り上げます。
8月20日(終値:880円)の時価総額は569億円で、ネットネット株界隈では大きめの企業です。
当企業の流動資産の内訳を見ると、現預金が35%を占めています。



負債の内訳を見ると、有利子負債は23%です。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は873億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.65になり、ネットネット株に該当しています。



2020年2月以前には、ネットネット株指数が1.0を大きく上回っており、指数の回帰性に期待することができそうです。



NCAVは2018年以降、上昇傾向にあります。



売上高は、変動幅が大きいものの、長期的には横ばいです。



類似企業と比較すると、日本航空電子の売上高の伸び及びません。



営業利益は緩やかな下降トレンドをたどっており、本業での儲けが薄くなっていることを示しています。



類似企業の営業利益率と比較すると、2021年3月期にホシデンは最も高収益になっています。



ROEは、好況期には7%を超える水準に達しています。資本効率の課題をデュポン分解して探ってみます。



直近数年間の純利益率は4%程度の水準で推移しています。



総資産回転率は1.5回程度です。



財務レバレッジは1.5倍程度です。



純利益率がまずまずの水準で推移しており、資本効率の良い状態が維持されています。
自己資本は上昇傾向にあります。



営業キャッシュフローがマイナスに転落する年が散見されます。
また、フリーキャッシュフローがマイナスに転落する年度も多くあります。



このようにキャッシュフローが不安定であるため、配当や自社株買いなどの安定した株主還元策を期待できません。
しかし、1999年以降、安定した配当支払実績を持っています。



現在の株価は、過去3年間安値からは42%程高い水準にあり、底値圏とは言えません。



買収防衛策は導入されていません。
ネットネット株指数的には割安になってきました。
また、売上高や営業利益は減少トレンドにあるわけではなく、ROEは高めで推移しています。
しかし、キャッシュフローは不安定であり、株主価値を高めるような施策を期待することが困難ですし、過去3年間の安値圏からは高い水準で株価が推移しています。
上記の点からすると、個人的には、積極的にポートフォリオに組み入れておきたい銘柄ではありませんでした。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。