ネットネット株の1つにフォスター電機(6794)という東証1部銘柄があります。
このフォスター電機は10/28(木)、22年3月期第2四半期決算を発表しました。昨年同期比で、売上高が11.9%の増収、営業利益は6.9億円の赤字から15.7億円の赤字へと赤字幅が拡大しました。
このフォスター電機は、ネットネット株投資家として、引き続き保有継続できる銘柄なのでしょうか?
この記事では、次の7つの視点をチェックしてゆきます。
目次
フォスター電機は、音響・車載用スピーカー部品・製品の専業メーカーで、米アップルに供給実績を持つ企業です。
したがって、不動産業や金融業銘柄ではありません。
この記事では、比較対象銘柄として、AV機器、車載用機器のメーカーであるJVCケンウッド (6632)と、AV機器世界大手のソニーグループ (6758)を取り上げます。
当企業の流動資産の内訳を見ると、棚卸資産が41%を占めていることには注意が必要です。



負債の内訳を見ると、有利子負債は34%に達しています。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は368億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.55になり、現時点でネットネット株に該当します。



NNWC式でも、ネットネット株指数が1.0未満になっており、割安であることを示しています。
NC | – |
NQ | 3.04 |
NCAV | 0.55 |
NNWC | 0.90 |
かぶ1000 | 1.99 |
2020年頃まで、ネットネット株指数が1.0を上回って推移しており、指数の回帰性に期待を寄せることができそうです。



NCAVは、2015年以降、伸び悩んでいます。



売上高は、2019年以降、減少傾向にあります。



類似企業を比較すると、フォスター電機がもっとも大きく変動しています。



2022年には、赤字に転落する予想になっています。



類似企業の営業利益率と比較すると、ソニーの強さが際立っています。



ROEは、低下傾向にあります。資本効率の課題をデュポン分解して探ってみます。



最終利益率が5%に達することは稀であり、低水準に留まっています。



総資産回転率は1.1回程度です。



財務レバレッジは1.5倍程度です。



1株純資産は、過去10年間で、60.1%程拡大しています。



営業キャッシュフローはプラスを維持していますが、フリーキャッシュフローは不安定な推移を示しています。



フリーキャッシュフローが不安定であるため、株主価値向上を図るための施策を期待することは難しそうです。
実際、増配と減配を繰り返しています。



現在の株価は、過去3年間の最安値圏で推移しています。



買収防衛策は導入されていません。
また、海外投資家の割合は33.9%に達し、直近株主総会の取締役会提案の決議事項では80%台の賛成票しか得られていないものが見られます。したがって、アクティビストの介入余地が多少はあるのかもしれません。
現時点でネットネット株に該当しています。
現在の株価水準は、2009年以来の安値圏であり、いかに業績が悪いとはいえ、下値は限定的と言えそうです。大量に保有することはお勧めできませんが、ポートフォリオの一部に加えることは前向きに検討できる銘柄です。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。