ネットネット株の常連銘柄にゲームカード・ジョイコホールディングス (6249)というJASDAQ銘柄があります。
このゲームカード・ジョイコは、ネットネット株投資家として、購入し得る銘柄なのでしょうか?
以下の8つの観点から、考慮してみました。
目次
ゲームカード・ジョイコは、2011年に日本ゲームカードとジョイコシステムズが経営統合して設立された遊技機用プリペイドカードシステム大手企業です。
したがって、不動産業や金融業銘柄ではありません。
この記事では、比較対象銘柄として、貨幣処理機大手のグローリー(6457)、パチンコ周辺機器大手のマースGHD(6419)を取り上げます。
9月3日(終値:1,255円)の時価総額は179億円です。
当企業の流動資産の内訳を見ると、有価証券が53%を占めています。



負債の内訳を見ると、有利子負債はありません。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は283.7億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.63になり、現時点でネットネット株に該当しています。



2016年以降、ネットネット株指数が1.0を上回ったことはなく、残念ながら、バリュートラップに陥っているように見受けられます。



また、NCAVは伸び悩んでいます。



売上高は減少トレンドをたどっています。



類似企業と比較すると、売上高の伸びはグローリーに遠く及びません。



営業利益は緩やかな下降トレンドをたどっています。



類似企業の営業利益率と比較すると、ゲームカードジョイコは10%超で推移しており健闘しています。



ROEは、2013年以降、7%を超える水準に達していません。資本効率の問題点をデュポン分解して探ってみます。



純利益率は、2003年以降、2016年を除いて、最終赤字を計上していない点は評価できます。



総資産回転率は0.2回程度で、低水準です。



財務レバレッジは1.2倍程度に抑制されています。



資本効率性の向上のためには、総資産回転率の上昇が必要です。
自己資本は上昇傾向にあります。



営業キャッシュフローはプラスで推移していますが、フリーキャッシュフローがマイナスに転落する年度が多くあります。



フリーキャッシュフローが不安定であるため、配当や自社株買いなどの安定した株主還元策を期待できません。
とはいえ、2012年以降、配当支払実績を持っており、無配に転落したことはありません。



現在の株価は、過去3年間安値からは27.8%程高い水準にあり、底値圏とは言えません。



買収防衛策は導入されていません。
取引先のSANKYOが13.63%の株式を保有しています。
ネットネット株指数的には割安で、営業利益率や純利益率が一定の水準を維持している点は評価できます。
しかし、フリーキャッシュフローがマイナスで推移することが多く企業価値向上に向けた施策を取りにくい企業です。また、過去6年にわたりネットネット株水準に株価が低迷しバリュートラップに陥っている可能性の高い点には注意を要します。
思いがけない材料で株価が急騰する可能性はありますが、上記の点からすると、個人的には、無理にポートフォリオに組み入れたい銘柄ではありません。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。