こんにちは。しーげるです。
5月10日現在のNNWC式・NCAV式ネットネット株の1つにカネソウ(5979)という名証メイン銘柄があります。
カネソウは、マンホール蓋や排水金具を主体とする建築金具メーカーです。
主力製品は雨水排水・防水製品のルーフドレイン、マンホール蓋、溝蓋、排水金具などです。防災関連では免震構造建築に対し専用のエキスパンションジョイントや木造住宅用の耐震補強装置を提供しています。
このカネソウは、5/8(月)に23年3月期決算を発表しました。昨年同期比で、売上高は18.8%の増収、営業利益は15倍の増益を計上しています。
このカネソウは、ネットネット株投資家として、引き続き保有を継続できる銘柄でしょうか?
この記事では、次の6つの視点をチェックしてゆきます。
目次
当企業の資産の内訳を見ると、現金預金が94億円に達しており、他の資産を圧倒しています。3か月前と比べて4億円増加しました。
一方、有利子負債はありません。
NNWC式の正味流動資産は96億円に達します。3か月前と比較して3億円増加しました。



時価総額をNNWCで割ったネットネット株指数(P/NNWC)は0.60になり、NNWC式ネットネット株に該当します。



また、NCAV式でもネットネット株指数は0.57であり、割安な水準です。
売上高は減少傾向にあります。



営業利益は、黒字を維持しています。



BPSは過去10年間で2.4%拡大しています。



売上高・営業利益・BPSを確認する限り、成長は見られません。
ROEは、1999年以降、7%を超過したことはなく、低迷しています。



過去24年間に最終損失を計上したことがない点は評価できます。



営業キャッシュフローは、2000年以降、プラスを維持しています。
また、フリーキャッシュフローも大半の年でプラスで推移しています。



キャッシュフローが安定しているため、経営方針次第では自社株買いなどの株主価値向上策を図ることはできそうです。
1999年以降、無配に転落した年はありません。配当利回りは3.75%です。



本社及び工場が所在するエリアは、三重県三重郡朝日町に位置しています。
海岸からは数キロの距離に位置しているものの、朝日町ハザードマップによれば、1m超の津波浸水エリアに指定されています。本社や工場の建物そのものへの浸水は想定していないようですが、製造拠点が一極集中しており、南海トラフ巨大地震に対して脆弱さが認められる企業です。
とはいえ、名証2部上場で現金預金が厚く、防災関連銘柄でもあるため、東日本大震災時(2011/3)の月間騰落率は+3.82%、コロナショック時(2020/2-3)の期間騰落率は△6.67%となり、比較的暴落耐性の強い銘柄です。
売上債権回転率は6.15回、棚卸資産回転率は5.63回と問題のない水準です。
買収防衛策は導入されていません。
海外投資家による株主保有はほとんどなく、海外アクティビストによる介入は期待できません。なお、岡三アセットマネジメントが取締役9名7名の選任決議、補欠の監査委員1名の選任決議において反対票を投じましたが、賛成率88%程度で可決されています。
創業家と関連会社が68%を超える株式を保有していると見られ、創業家によるTOBの可能性が多少はあるように考えられます。
流動資産の内、現金預金が資産の大半を占める堅固なNNWC型・NCAV型のネットネット株です。
売上高・営業利益率・BPSは低迷しており、ROE的にも魅力は乏しい銘柄ですが、24年間最終黒字を維持しており、キャッシュフローも安定しています。
比較的高い配当を維持しており、配当実績も安定しているため、全体相場が下落したとしても、下値余地は乏しいと考えられます。
したがって、成長性が乏しいことには一旦目をつむり、資産内容に依拠して保有するネットネット株です。
目標株価6,700円に向けて、保有を継続してゆきたい銘柄です。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。