3月14日現在のNNWC式・NCAV式・かぶ1000式ネットネット株の1つに共和工業所 (5971)という東証スタンダード銘柄があります。
共和工業所は、コマツ向け中心に高強度ボルトで高シェアを誇るボルト専門メーカーです。
取扱製品は、
- 建設機械用ボルト(バケット・エッジ系、外装・各種Assy系、足回り系、アタッチメント系)
- 自動車用パーツ(動力伝達系、ステアリング・サスペンション系、圧造品)
- 減速機系パーツ(減速機用ギア)
- 産業機械用パーツ(産業機械用ボルト、内燃機関用ボルト)
などです。
共和工業所は12月12日、2023年4月期第3四半期(5-1月)の決算を発表しました。昨年同期比で、売上高は18.3%の増収を計上した一方、営業利益は△30.6%の減益を計上しました。
この共和工業所は、ネットネット株投資家として、保有を継続できる銘柄なのでしょうか?
以下の6つの観点から、考慮してみました。
目次
当企業の資産内訳(NNWC式の計算式適用後)を見ると、現金預金が55億円に達しており、安定的です。3か月前と比べて、4億円増加しました。



負債を見ると、直近の有利子負債倍率は0.02倍程度で健全な水準です。



高換金性資産から総負債を除いたNNWC(正味流動資産)は97億円です。



時価総額をNNWCで割ったネットネット株指数(P/NNWC)は0.59になり、現時点でNNWC式ネットネット株に該当します。
なお、NNWC式に加えて、NCAV式やかぶ1000式でもネットネット株水準に達しています。
NNWCは拡大傾向にあります。



また、ネットネット株指数は、過去6年間で最も割安な水準に達しています。2017年から2018年にかけてネットネット株指数は1.0を回復しているため、指数の回帰性に期待を持つことができます。



売上高は拡大傾向です。



営業利益は伸び悩んでいますが、1998年以降、営業赤字を計上した年度がない点は評価できます。



BPSは過去10年間で1.49倍に拡大しています。



ROEは、好況期では8%を超える程度の水準に達しています。



純利益は、2001年・2015年以外は黒字を計上しており、ある程度の収益性を確保しています。



2001年以降、営業キャッシュフローは安定してプラスで推移しています。また、フリーキャッシュフローも大半の年で、安定してプラス圏を維持しています。



キャッシュフローが安定しているため、業績が順調に伸びていれば、増配や自社株買いなどの安定した株主還元策を期待することができそうです。
配当実績を見ると、安定して配当が支払われています。配当利回りは1.91%に留まっています。



東日本大震災が生じた2011年3月の月間騰落率は10.13%、コロナショックが発生した2020年2月から3月にかけての期間騰落率は△18.84%で暴落耐性のある銘柄です。
買収防衛策は導入されていません。
大株主リストの中には、光通信やBBHフィデリティ・ロープライスドストックファンドが名前を連ねているものの、光通信は保有割合を減らしています。
海外投資家は極めて少なく、直近株主総会決議の賛成割合は91%を超えていることから、アクティビストの介入余地の乏しい銘柄と言えます。
ネットネット株指数的には割安な銘柄です。資産内容も現金預金が多く安定的ですし、ROEやキャッシュフローは好ましい数値が維持されています。
引き続き、7,100円を目標株価として、ポートフォリオに含めておきたい銘柄の1つです。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。