NCAV式ネットネット株候補にオーナンバ(5816)という東証2部銘柄があります。
このオーナンバは、ネットネット株投資家として、ホールドできる銘柄でしょうか?
この記事では、次の7つの視点を中心にチェックしてゆきます。
目次
民生機器用電線ハーネスで首位を走る配線システムメーカーです。
したがって、個人的に投資を控えている不動産業や金融業銘柄ではありません。
オーナンバの流動資産の内訳を見ると、売上債権が42%を占めています。海外の売上高比率は44.9%に達しているため、信頼性の点でやや不安視されます。


負債の内訳を見ると、有利子負債は27%に達しています。有利子負債自己資本比率は20.68%でやや高めではありますが、問題のない水準です。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は90.3億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.58になり、NCAV式ネットネット株に該当しています。



続いて、所有する土地についても確認してみます。



本社と本社倉庫は大阪市東成区に隣接して所在しているようですが、3,108㎡の土地が572.8万円で評価されています。㎡単価は1,842円です。
しかし、路線価は17.5万円/㎡であり、実勢価格は24万円/㎡となるものと思われます。



したがって、大阪市東成区の土地だけで7.5億円の価値を有する計算になります。
一方、投資有価証券として、以下の銘柄など11の上場企業株式を9.9億円分保有しています。



こうした資産内容を加味した、他の類型のネットネット株指数は以下のとおりです。
指数 | |
Net Cash | – |
Net Quick | – |
NNWC | 1.04 |
かぶ1000式 | 2.76 |
NCAV | 0.58 |
棚卸資産が多いため、他の類型ではネットネット株に該当していません。
2016年以降、NCAV式ネットネット株指数が1.0を上回ったことはありません。



NCAVは増加傾向にあります。



したがって、バリュートラップの可能性はやや低いように思われます。
売上高は、2016年以降、伸び悩んでいます。



営業利益は、1999年以降、赤字を計上したことがありません。



1株純資産(BPS)は拡大しており、過去10年間で1.65倍に成長しています。



ROEは、2015年以降、5%に達することはなく、低迷しています。



過去24年間で、最終損失を計上しているのは、2009・2013・2016年の3回です。



営業キャッシュフローは大半の年でプラス圏をキープしています。
フリーキャッシュフローも多くの年でプラス圏を維持しています。



キャッシュフローが比較的安定的であるため、なんらかの株主還元策の拡充を期待することができそうです。
1999年以降の配当実績があります。現時点での配当利回りは3.46%です。



買収防衛策は導入されていません。
海外投資家の保有割合は10.3%に留まり、直近の株主総会での賛成割合は96%を超えているため、アクティビストの介入余地は乏しそうです。
NCAV式ネットネット株です。流動資産に海外の売上債権が多く占めていると思われ、負債がやや多い点は気にかかりますが、土地や有価証券などの流動資産以外の良質の資産が安全域を厚くしています。
売上高やROEは伸び悩んでおり、収益性に課題を抱えるものの、NCAVや1株純資産が伸びており、キャッシュフローが安定的で、配当実績が安定している点は安心材料です。
上記の点からすると、収益性を見込める資産バリュー株としてポートフォリオに含めておきたい銘柄です。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。