ネットネット株の1つに中山製鋼所(5408)という東証1部銘柄があります。
この中山製鋼所は、ネットネット株投資家として、購入し得る銘柄なのでしょうか?
この記事では、次の7つの視点をチェックしてゆきます。
目次
中山製鋼所は、日本製鉄系の老舗電炉メーカーです。
したがって、不動産業や金融業銘柄ではありません。
この記事では、比較対象銘柄として、日本製鉄系の電炉大手の合同製鐵(5410)と、独立系電炉大手の東京製鐵(5423)を取り上げます。
当企業の流動資産の内訳を見ると、売上債権が44%を占めています。主要取引先は阪和興業株式会社など国内企業であるため、大きな懸念事項ではありません。
負債の内訳を見ると、有利子負債は15%に留まっています。
流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は368.8億円です。
時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.76になり、現時点でネットネット株に該当していません。
他の数式でも、ネットネット株には該当しません。
NC | – |
NQ | – |
NCAV | 0.76 |
NNWC | – |
かぶ1000 | – |
2018年以前は、ネットネット株指数が1.0を上回って推移しており、指数の回帰性に期待を寄せることができそうです。
NCAVは、2014年以降、横ばいです。
売上高は、2010年頃から横ばいです。
類似企業を比較すると、中山製鋼所がもっとも順調に推移しています。
2014年以降、営業黒字を維持してます。
類似企業の営業利益率と比較すると、東京製鐵並の営業利益率を維持しています。
ROEは、好況期には軽く7%を超過しています。資本効率の課題をデュポン分解して探ってみます。
過去24年で8回の最終赤字を計上しています。
総資産回転率は1回程度です。
財務レバレッジは1.5倍程度です。
1株純資産は、過去10年間で、502.9%拡大しています。
営業キャッシュフローは多くの年でプラスを維持していますが、シクリカル銘柄ゆえにフリーキャッシュフローは不安定な推移を示しています。
シクリカル銘柄であるため、好況期には配当や自社株買いなどの株主還元策を期待することができますが、不況期には株主価値向上を図るための施策を期待することはできません。
実際、無配年度も多くなっています。
現在の株価は、過去3年間の最安値から38.5%上昇しており、底値圏とは言えません。
買収防衛策が導入されています。
また、海外投資家の割合は9.4%に留まっていますし、株主総会の取締役会提案の決議事項は95%以上の賛成票を得ており、アクティビストの介入余地が乏しそうです。
電炉メーカーであるため、電力費高騰は収益悪化要因になるため、注意を要します。その一方で、鉄スクラップは上昇しており、製品価格を上げやすい環境と言えます。
現時点でネットネット株に該当していないため、購入は見合わせる銘柄です。
ただし、典型的なシクリカル銘柄であり、景気動向を反映しやすい銘柄であるため、注意深く監視しておきたい銘柄です。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。