【更新】SECカーボン (5304)の銘柄紹介 ― 黒鉛電極の世界トップシェアの割安株

11月11日現在のネットネット株候補の1つにSECカーボン(5304)という東証スタンダード銘柄があります。

SECカーボンは独立系の炭素製品専業メーカーで、以下のようなカーボン(黒鉛)を用いた炭素製品を製造しています。

  • アルミニウム製錬用カソードブロック(世界トップシェアで、アルミニウム精錬工場の電解炉の陰極として使用される)
  • 人造黒鉛電極(大型の電気製鋼炉に使う30インチ前後の太い黒鉛電極)
  • 特殊炭素製品
  • ファインパウダー/高純度黒鉛粉末

主要取引先は、

  • 住友商事
  • 三菱商事

ですが、海外売上高は65.2%に達しています。

このSECカーボンは、11月11日に2023年3月期第2四半期(4-9月)の決算を発表し、昨年同期比で売上高は28.2%の増収、営業利益は80.2%の増益を計上しています。

この最新の財務内容で、ネットネット株投資家として保有を継続できるでしょうか?

この記事では、次の6つの視点から検討します。

①NNWC式ネットネット株指数

当企業の資産内訳(NNWCの計算式適用後)を見ると、242億円分の現金預金を保有しており、安定的な資産内容です。3か月前と比較して、現金預金は11億円増えています。

負債の内訳を見ると、有利子負債はありません

高換金性資産から総負債を除いたNNWC(正味流動資産)は389億円です。NNWCは、6か月前と比較して15億円、3か月前と比較して4億円ほど拡大しました。

時価総額をNNWCで割ったネットネット株指数(P/NNWC)は0.72になり、NNWC式ネットネット株に該当していません(11月11日現在)。

過去6年間のNNWCの推移を見ると、着実に積み上がっています。

2019年以前は、ネットネット株指数1.0以上を回復しています。2018年頃の株価上昇は黒鉛電極のバブルによるものであり、当時の高値水準にチャレンジする可能性は乏しいものの、ある程度株価が回復しネットネット株指数が1.0水準に回帰することは期待したいところです。

また、京都府や岡山県などに賃貸利用している不動産及び工場跡地等を所有しており、含み益は14.6億円に達しています。

②売上高・営業利益・BPS

売上高の増減は激しいものの、長期的には上昇トレンドで推移しています。

営業利益は2016,2017年以外で黒字を維持しており、本業での儲けを出しています。

BPSは、過去10年間で1.72倍に成長しています。

③ROE

ROEは、好況期に7%を超える水準に達しています。

過去24年間に4回の最終損失を計上しています。

④キャッシュフロー

2000年以降、営業キャッシュフローはプラスを維持しています。

また、2013年以降、フリーキャッシュフローもプラスを維持しています。

このようにキャッシュフローが安定しているため、増配や自社株買いなどの安定した株主還元策を期待したいところです。

⑤配当

1999年以降、無配に転落した年はありません。現在の配当利回りは2.93%です。

⑥リスク

工場は分散されており、災害に対して脆弱であるようには見受けられません。

東日本大震災時(2011年3月)の月間騰落率は△5.0%、コロナショック時(2020年2-3月)の期間騰落率は△24.9%になりました。しかし、2020年が比較的高値圏にあったことを考慮に入れると、暴落耐性がない銘柄とは言えないように考えられます。

その他の特記事項

買収防衛策は導入されていません

海外投資家の株主割合は7%であり、直近の株主総会決議の賛成割合は91%を超えているため、アクティビストの介入の気配はありません。

しかし、株主の野村AMは取締役5名のうち大谷民明氏・中島耕氏・大谷壽一氏の選任に反対票を投じており、三井住友トラストAMは取締役5名全員と監査役1名の選任決議に反対票を投じている点に留意できます。

まとめ:

現金預金が厚く、有利子負債のない財務的に安定した割安株です。分散された投資有価証券を保有していることに加え、含み資産も有しており、良質な資産バリュー銘柄と言えそうです。

売上高・営業利益・BPS・NCAVともに上昇基調にあり、ROEやキャッシュフローも比較的良好です。電気代の高騰などの懸念点はありますが、依然として下値余地は乏しく思えます。

やや値上がりしており、今から購入することはありませんが、保有分については株価が9,500円前後に達することを期待しつつホールドしてゆきたい銘柄です。

今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。

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