3月7日時点でのNCAV式ネットネット株に大伸化学(5304)というJASDAQ銘柄があります。
この大伸化学(4629)は、最新の財務内容でも、ネットネット株投資家としてホールドできる銘柄なのでしょうか?
この記事では、以下の7つの視点から検討してみました。
目次
大伸化学は、シンナー最大手で、塗料・インキ・印刷関連企業を主要な取引先とするメーカーです。
したがって、個人的に投資を控えている不動産業や金融業銘柄ではありません。
当企業の流動資産の内訳を見ると、売上債権が74%を占めていますが、海外取引先への売上高はほとんど存在しないため、大きな懸念材料ではありません。



負債の内訳を見ると、有利子負債は4%に留まっています。



流動資産から総負債を除いたNCAV(正味流動資産)は88.5億円です。



時価総額をNCAVで割ったネットネット株指数(P/NCAV)は0.65になり、ネットネット株に該当しています。



流動資産以外の資産を確認すると、所有する土地の中には、高換金性を有するものは見いだせません。
一方、投資有価証券として、KHネオケムなど10銘柄3億円分の株式を保有しており、安全域を厚く保つ点で寄与しています。
NCAV式だけでなく、NetQuick式・NNWC式・かぶ1000式でもネットネット株指数1.0を下回っています。
NetCash | – |
NetQuick | 0.78 |
NCAV | 0.65 |
NNWC | 0.91 |
かぶ1000式 | 0.78 |
2018年以前には、ネットネット株指数が1.0を上回っており、指数の回帰性にある程度期待することができそうです。



NCAVは上昇傾向にあります。



したがって、バリュートラップに陥っている可能性は乏しそうです。
売上高の増減は激しいものの、長期的には上昇トレンドで推移しています。



営業利益は2001年以外で黒字を維持しており、本業での儲けをしっかり出し続けています。



BPSは、過去10年間で2.09倍に成長しています。



ROEは、2007年以降、6%を超える水準で推移しています。



純利益率は上昇傾向にあります。



2000年以降、大半の年で、営業キャッシュフローがプラスを維持しています。
また、フリーキャッシュフローも、多くの年でプラスを維持しています。



このようにキャッシュフローが比較的安定しているため、配当や自社株買いなどの安定した株主還元策を期待したいところです。
2002年以降、安定した配当実績を持っています。現在の配当利回りは2.54%です。



買収防衛策は導入されていません。
海外投資家の株主割合は11.9%であり、直近の株主総会決議の賛成割合は88%を超えているため、アクティビストの介入の気配はありません。
有利子負債の少ない財務的に安定したネットネット株です。
売上高・営業利益・BPS・NCAVともに上昇基調にあり、ROEやキャッシュフローも比較的良好です。原材料となる原油価格の高騰に留意する必要はありますが、ネットネット株の中では優良な銘柄と言えます。
下値余地は乏しいように思われ、安心して保有できる銘柄と言えそうです。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。