2月10日現在、NNWC式・かぶ1000式ネットネット株の1つにイサム塗料(4624)という東証スタンダード銘柄があります。
イサム塗料は、自動車補修用をメインとする中堅塗装メーカーです。
このイサム塗料は、2/9(木)に23年3月第3四半期決算を発表しました。昨年同期比で、売上高は6.4%の増収、営業利益は1.4%の増益を計上しています。
このイサム塗料は、ネットネット株投資家として、引き続き、保有対象となる銘柄なのでしょうか?
この記事では、次の6つの視点でチェックしてゆきます。
目次
当企業の資産の内訳を見ると、長期預金を含む現金預金が47億円、有価証券・投資有価証券・長期預金が52億円相当に達しています。
一方、リース負債を除く有利子負債はありません。
NNWC式の正味流動資産は107億円に達します。3ヶ月前より1億円減少しています。



時価総額をNNWCで割ったネットネット株指数(P/NNWC)は0.48になり、NNWC式ネットネット株に該当します。



NNWCは僅かながらも拡大傾向にあります。



また、過去6年間のNNWC式ネットネット株の推移を確認すると、指数1.0を回復している時期もあり、バリュートラップに陥っている可能性は乏しそうに見えます。現在は過去6年間で、最も割安な水準です。



なお、かぶ1000式でもネットネット株指数は0.45になり、割安であることを示唆しています。
さらに、賃貸等不動産の含み益を11.9億円ほど有しており、安全域をいっそう厚いものにしています。
売上高は減少傾向にあります。



営業利益は、長年の間、黒字を維持しているもの、低迷しています。



BPSは過去10年間で1.54倍に拡大しています。



ROEは、好況期に7%を超過して推移しており、まずまずの水準に達しています。



過去24年間に最終損失を計上したことがない点も評価できます。



営業キャッシュフローは、2002年以降、プラスを維持しています。
また、フリーキャッシュフローも多くの年でプラスを維持しています。



キャッシュフローが比較的安定しているため、経営方針次第では、増配や自社株買いなどの株主価値向上策を図ることはできそうです。
1999年以降、無配に転落した年はありません。配当利回りは1.85%です。



本社は大阪市福島区、工場は滋賀県草津市に所在しており、津波の被害想定エリアには位置していません。生産拠点が1箇所に集中している点で脆弱性があることには留意が必要です。
東日本大震災時の月間騰落率は△12.5%、コロナショック時の2-3月の期間騰落率は△23.13%で、暴落耐性は低いように見えます。
ただ、売上債権回転率は3.56回、棚卸資産回転率は5.45回で問題のない水準です。
また、昨年度の実質法人税率は28.7%であり、平均的な実質法人税率(30.5%)との乖離は小さく、不正会計の可能性は低そうです。
株価は過去3年間の安値圏で推移しています。



買収防衛策は導入されていません。
海外投資家による株主保有は3.3%程度であり、株主総会の賛成割合が95%を超えていることから、アクティビストによる介入も想定できません。
現金預金や投資有価証券が資産の大半を占める堅固なNNWC型のネットネット株です。
売上高・営業利益は低迷していますが、NNWC・BPSは拡大しており、ROE的にも効率性が認められる銘柄です。24年間最終黒字を維持しており、キャッシュフローも比較的安定しています。
有利子負債もほとんどなく、財務が盤石であるため、安心して保有できます。
流動性が低い銘柄ですが、5,600円前後を目標に保有を継続しておきたい銘柄の1つです。
今回もお読みくださり、どうもありがとうございました。